龍虎という男 その1 ページ24
Aは気がつくと見たことがない場所にいた。
周りを見渡すと建物ばかり。そこには先程まで同行していた人物達はいない。
だが、後ろからドス黒い、汚らわしいオーラのようなものが流れ込む。
やつだ。
すぐさま戦闘の準備をする。ヤツのスタンドは全くわからないが、遠距離でも近距離でも、物理攻撃である限り自分には通じないという地震があった。
「やぁ……龍虎くん、だったよな」
やつの声がする。
後ろを振り向こうとするが足が動かない。
何故だ。自分は吸血鬼を3年間ずっと始末してきた。そんな自分が、何故。
「君は
DIOは、まだ自分は完全では無い。
まぁ足止め程度になればいいか。程度だった。
「はっ、はは……馬鹿じゃあないのか、アンタ…そんなので俺が仲間になると言うとでもッ……?」
Aの声は、若干怯えていた。
今までの吸血鬼とは訳が違う。
スタンドも持っていて、圧倒的なカリスマ性。
ヴァニラ・アイスがあれ程執着する程の人物。
想像をも上回っていた。
「なぁ……A君、私は……父に愛されていなかった。母は幼い頃に死に、父からは金を稼げと言われた……A君……私に、"人の愛"を教えてはくれないかい……?」
DIOは囁くような声でAに話しかける。
父からは愛されず、母は他界したDIO。
Aは同情せずにはいられなかった。
もし彼に"人の愛"を教えたら、彼は、かつてAが
Aはつい、気が緩んだ。
その瞬間だ、前からなにか自分目掛けて真っ直ぐに向かってくる。
ガードしようと思った時には時既に遅し。
"ソレ"はAの眉間ら辺に埋め込まれていた。おい、聞いてないぞ。こんな攻撃。と、Aは心の中で思った。
DIOの声が聞こえる。
「やつに"肉の芽"を入れるためとはいえ……
あいつのことを話したのは反吐が出るな。
あぁ、さて、働いてもらうぞ。A…」
Aは、何言ってるんだ!誰があんたの言いなりになるかッ!!と思ったが、声に出たのは正反対の言葉だった。
「御意……DIO様…」
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作者名:小松 | 作成日時:2019年9月2日 18時