龍虎 その2 ページ22
「Aッ！危ないッ！！！」
「ッ……！？」
間一髪という時に、包丁を持った姉がAの前に立った。
その瞬間、いきなり来た姉に驚いたのか手を止めた。その瞬間に姉は持ってた包丁を男の腹に突き刺す。
「こ、これでもうこの男は立てないわッ！さぁAッ！！あの子は倉庫に隠したわ……！あの子を迎えに行って早く出ましょうッ……！」
「うっ、うん……！」
今から出ようとした瞬間、後ろから物音がした。
「喉が渇いた……死にそうだ……お前らの……テメェらの血を〜〜〜ッ！！」
男は姉の首に指を入れた。
「な……んで……確か…に…刺した………の…に……」
「姉ちゃんッ！！」
「にげ…て……」
Aは倉庫へ行った。せめて、弟だけは守らなくてはと。後ろから物音がする。そして、気味の悪い、ヤツの声が聞こえる。そんなので怯えてる場合じゃあない。弟と一緒にここを出るんだ。倉庫のドアを開ける。奥には弟がいる。入られないように鍵を閉めておく。
「お兄ちゃん……！」
「ごめんな、1人にしてて。いいか、今からここを出るよ！この倉庫の外には怖い人がいるんだ！」
「おいおい！俺が開けれないと思っているのかぁ〜？ここにはほかの奴もいるみたいだなぁおいッ！ここの家に来て良かったぜぇ〜、全く！俺はラッキーボーイだなぁ！」
男はドアを開ける……いや、ドアを外した。
なんだあのバケモノはッ！
倉庫はそこまで広くない。あいつにすぐ追いつかれてしまうだろう。
「それじゃ〜♪いただきまぁ〜す」
(もうダメだッ……終わりなんだッ…！でも、でもッ……！)
(弟だけは！守りたいッ！！)
そのAの想いが通じたのか。
それとも神の気まぐれか。
確かに男はAに触った。
そう、触ったはずなのだ。
だが、男は見えない壁に弾き返させられた。
「な、なぁんだァこりゃあ〜！？
おいガキ！テメェ何かしたのかぁ〜ッ！！」
「し、知らねぇよ！！てめぇが勝手に弾き返ったんだろうッ！！」
「くっそッ！！舐めたまねしやがってよォ〜〜〜ッ！！」
そして、幸運はまだ続く。
この倉庫には窓があるのだ。倉庫は元々暗かったため、その窓にはカーテンを付けていない。
そして、換気をするためにその窓を開けていたのだ。夜があける。男が弾き返された所はちょうど日が当たるところだったのだ。
「ひ、日の出ッ…！？くそ、くそ〜ッ！」
男は灰になる。何故だかAは落ち着いた様子だった。
「真のラッキーボーイは、俺だったようだな」
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作者名：小松 | 作成日時：2019年9月2日 18時
