戦闘民族の彼女は。 【キングダム】

７ ページ8

･




「ククク、なんだ
小僧は王の配下ではないのか

王を殺すなら譲ってやるぞ、首は俺が頂くがな」




「あぁ殺す、ぶっ殺してやる
…だけどその前にお前だ」





顔を上げた信の目は血走っていた






「漂を殺したお前の腹ワタ引きずり出してやる！！」




『信、』




「お前は見てろ！！！」






剣を抜いて飛びかかった信。
無茶な…相手の力は見て取れる





「ハハハ…そこの女、俺は“お前ら”を知っている」



『…、何のこと？』



「“紅霧族”…」



『！？』




こいつ、私の事見ただけで…！？






「その肌の白さと、今通ってきた黒卑村に横たわった死体に残された傷跡が証拠だ

あれはおよそ人の力では決して出来ない傷跡だ」





「てんめェ！！何よそ見してんだコラ！！」






『…、』




「だが、あの種族は既に滅びた伝説の種族だと聞いた。お前はその末裔か何かか。」




『どうでもいいよそんなことは。
……あ。…あと、信は強くなるよ』






私が指を指すと、男はハッとした顔で振り向いた。

…だが、男の方がやはり強かった。





「五年早かったな！！」




信に向かって振り下ろされる剣。
信は何とか受け止めるも、蹴りを入れられぶっ飛んだ。




「う、うぅ」



「ほぉ、まだ息があるか。だがもう立てまい」






…強い。でも信が負けるほどの相手ではない。






「…信
何も考えるな。ただ＿＿
漂の無念を晴らすことだけを考えろ」




政がそう言った瞬間、信が立ち上がった。





「お前が漂の名を口にすんじゃねぇ！！」





あ、また “お前” って言ったな。




それから、火がついたように攻撃のスピードが上がっていく信。




『どんどん強くなってくね…』



「……漂も、そう言っていた」



『…漂も？』



「……」




政の表情が心做しか暗くなったような気がした。






『ごめん、そんな顔させるつもり無かった』



「…“そんな顔”？俺はどんな顔をしていた？」



『え、…暗い顔？』



「暗い顔、か…」






そう言うと信に目を向ける政。
私も釣られて目を向けた。





「小僧ォォ！！」


「っ！！」




凄いタイミングで見てしまった。
信があの男に傷を負わせた。



逆上した男から攻撃を受けるも、信はそれを倍にして返す。




信はいつの間にこんなに強くなってたんだろう







信は高く飛び上がり、男目がけて剣を振り下ろした。

８→←６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す