いや、ただ偶然出会っただけだけど。２【灰谷蘭】

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「Aいる？」



『！？』




突然ドアの向こうから蘭の声がした。




『い、いるよ！』


「風呂入っていい？」


『どどどどどうぞ！！』




着替えは既に済んでいたので
思いっきりドアを開けて蘭を招く。

どもり過ぎた恥ずかしい。




『え”ッ！！？』


「…あ？」




咄嗟に鼻をおさえた。
鼻血が出そうだったのだ。


そう、顔を上げると上半身裸の蘭が
私の目の前に立っていた。




『……っっっ』


驚きすぎて言葉も出ない。
つか刺青カッコイイ、抱かれたい。




「…気分悪ぃの？」


『ヒィ…』


「は…？」




近いです。
まじで逝きそうになった。




「…着替えてェんだけどいつまでそこに居んの？」



“Aのヘンタイ”といって更に服を脱ごうとするので
急いで脱衣所から出た私。


あ、危ない……。
まじで変態になる所だった。




「……ん？A、顔赤ェぞ」


そのときタイミングよくやってきた竜胆。

また熱か？と言って顔を近づけてくるので
全力でキッチンへと逃げた。



やめてくれ今は……心臓が持たない。





留美子にお祭りであった事等、色々連絡して気を紛らわそうとするも思い出す蘭の色っぽい姿。



って、私は思春期の男子高校生か。





竜胆はリビングのソファーの上で
私の漫画を読みながらくつろいでる。



蘭は今はお風呂か……。

ダメだ、変な事しか考えられない私どうしよう。
完全なる変態だ。





そんな事を考え続けて何分経っただろうか。


結局ずっとキッチンのテーブルに顔を伏せて
お祭りの時の蘭を思い出しては悶えていた私。





『ア”ァァ……まじで抱かれたい…』



「誰に？」




ふわっと鼻を掠める私と同じシャンプーの香り。



『エッ』




トン、と顔の前に手を置かれ思わず顔を上げる。




「誰に抱かれてェの？」



『……あ…』




＿＿蘭。



上から見下ろされている形になっているので
私の頬に蘭の髪から水が滴り落ちて来る。

詰んだ。
聞かれるとは思わなかった。





「……」


『ふ、服着ないと風邪ヒキマスヨ…』


「机に顔伏せてるしさっきも様子変だったし
体調悪ぃのかと思ったら…」




…あ、もしかして、
心配して来てくれたのだろうか。



「…山田ってやつそんなにいいの？」


『…あ、いや』


「もう付き合ってんの？」


『そうじゃなくて』




どうしよう、すごい睨まれる。
あと近い。いい匂いする。
抱かれたいって言ったの後悔してない。()






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