いや、ただ偶然出会っただけだけど。２【灰谷蘭】

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『……ねぇ、もしかして蘭さ、
私の好きな人が誰か…気付いてる？』



聞くかどうか迷ったけど、
念の為に聞いてみることにした。

知らなかったら知らなかったで
“あーそっかー” で済ませられるし。たぶん。




「あン？知らねぇよ。

………誰だよ。」



『あーそっかー』



「ふざけんな」





“あーそっかー”で済ませられなかったわ。
蘭のこの目よ。





「あ、俺何となく気付いたかも」


『え！？』



そう小さく呟いたのは竜胆。
バレてた？竜胆ってそういうとこ鋭いし気付かれてるかもとは思ってたけど…。



『……だ、誰だと思う？』


「同じクラスにいる山田とかいう奴だろ」



いやちがーーーう。

タオルで水気を拭き取りながら、
心の中でツッコミを入れる。




「山田？…誰。」



何故かギロリと睨まれた。


蘭、さっきまで笑顔だったのに
急に真顔になるの本気で怖い。



冷たい目で見つめられ、思わず目を逸らしてしまった。




「…は？図星？」



迫り来る蘭。





『いや、山田くんはただ席が隣なだけで…』



「席が隣…？

……あー、アイツか……。へぇ」




えぇ…。何を思い出したのか、
口元に怪しく笑みを浮かべた蘭。


こら竜胆！！！と勢いよく竜胆を睨みつけるも
目を逸らされてしまった。可愛いなもう。




「……♪」



蘭は機嫌良さそうにリビングの奥へと行ってしまった。



「あーあ…」


『こら竜胆。あーあじゃねーよ…』


「悪ぃ。山田じゃねぇの？」


『まぁ…うん、言えない。』




竜胆から舌打ちが聞こえた。
え？竜胆今舌打ちした？？え？？


そう尋ねる前に、
竜胆も蘭が向かった先に行ってしまった。




つか、私も着替えないと。びしょびしょのままだとこの前みたいに風邪をひいてしまう。






脱衣所で浴衣を脱ぐ時に、
ふと鏡に写った自分が目に入った。



『……あ、そうだった』




蘭に付けられたキスマークと噛み跡。
どちらもめちゃめちゃ濃く跡が付いてる。


思い出すと顔に熱が上るのが分かった。





『明日隠してかないとな……』




蘭もびしょ濡れだったし大丈夫かな。

きっと今頃着替えてるんだろうな…。






そういえばあの時、半間って人
関東最強の暴走族連合…バルハラとか言ってたよな。

蘭と竜胆は関わりはないのかな。




気になるけど深く聞きすぎると嫌われたりしそうで深くは聞けない。




東卍…か。







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