いや、ただ偶然出会っただけだけど。２【灰谷蘭】

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『……』



あっという間に終わってしまった。




私たちの目の前には伸びている男。
もう1人の男は驚きで言葉を失っている様子。




『え、蘭……大丈夫…？』


「ん、お前は？」


『ッッッ』




す、スパダリ……！！
私の心配なんてしてくれるのか、この人は。




『蘭と竜胆のおかげで何ともないよ』


2人に手を合わせていると




「は？今お前何つった…？
もしかしてお前ら2人って……」



残された男が青ざめた顔で後ずさりしていく。




「灰谷兄弟…？」



「……」
「…A行くぞー」



蘭が私の手を引いて歩いていく。

うわ……今のかなり目立ってたし
周りから注目浴びてる……。




「な、なんで灰谷兄弟がここに！？」



そう言って倒れた男を引きずりながら逃げていく男。


初っ端から喧嘩かー…と少し苦笑いしてしまう。





「あんまここで目立ちたくねぇんだよなー」
と言って笑う蘭とは対照的に

「お前いるし、できれば喧嘩は控えたい」と
少し難しい顔をした竜胆。




あ、そうか……ここって確か


『“トーマン”のシマ……？』


「お前がシマとか言うの似合わねー」


『笑うな』




私は至って真面目だ。


っていうか、2人ともカッコよすぎる。
目の保養だ。

こんなイケメンと肩を並べて歩いてもいいのだろうか？



さっきからちゃっかり蘭と手繋いでるし。




「浴衣似合ってんな」


『！！！！？』




ニッ！と歯を見せて笑った蘭。



どうしよう心臓が持たない。




「逸れんなよ」



私たちの先を歩く竜胆が振り返りそう言った。



あ”ァァァしんどい……




『蘭と竜胆もしんどい……』


「どういう意味だよ」


『いや……かっこよすぎて……』


「……。」


「兄貴落ち着け」





ダメだまともに息ができねぇ。()




気を紛らわせようと遠くを見た時だった。



金髪で背の高い、頭に何やら刺青が入った人が向かってくるのが見えた。…なんか目立ってるし。

隣には彼女さんかな？
すごい身長差カップルみたいでかわいい。




私と蘭ってどんな風に見られてるのかな。
やっぱりカップル？


むふふ……と1人でニヤニヤしていると、
グイッと腕を強く引っ張られた。



『わっ！』



「……A、あっちにわたあめあんぞー」




蘭の視線の先にはわたあめ屋さん。
人気なのか列を作ってる。


あ、確かに美味しそうだ。

来た道を戻る感じにはなったけど、
なんだろうすごい幸せ。


ここは天国か？






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