いや、ただ偶然出会っただけだけど。２【灰谷蘭】

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あんな優しい兄弟、モテるに決まってるわ。
ハイスペだし


見た目モデルかっつの。




蘭と竜胆の家はここからそう遠くないらしく。
多分すぐに戻ってくるだろう。




部屋を見回した時、ふとある物が目に留まった。



蘭のバッグ。


竜胆のはしっかりと閉じられていたけど
蘭のは全開で、しかも中身が飛び出していた。

ほとんど飛び出してるし…。





『……服だ』



よく見てみると、なんか学生服みたいな黒い服だった。
刺繍で文字も入っている感じの。



いけないことだけど、
気になったのでそっと持ち上げてみる。





ベルトのついたワンピース……？



いや、これは……




『…特攻服？』



……まじ？




なんかやばい物を見てしまった気がする。



でも全開で飛び出してたのを見ると
別に隠してはいないのかも？




『……』



どうしよう、着てみたい。

特攻服というもの自体に興味があったし、
何より蘭の服……ゲホッゴホッ。





『ちょっと着てみるだけなら…いいよね』




自分の制服をポイポイと脱ぎ捨てて、
その特攻服にそっと袖を通してみる。



……ブカブカだ。(感動)





私が着ると本当にワンピースみたいな丈になってしまった。


『……あれ？』




まだズボンがあるらしい。あと手袋みたいなのも。
そういやこの背中に書いてあるの何て読むのだろう。

“てん”……？




ベルトを緩めて、ズボンを履いてみる。

うわ……地面引きずるわこれ。
さすがに勝手に折り曲げるのは良くないかな。


手で少し持ち上げながらベルトを1番キツい所まで閉めてみる。……それでもやっぱり余裕がある。



最後に手袋をつけて……




いざ全身鏡の前へ。




『うわぁ……！』



すごい！
特攻服だ！



ブカブカで手元が見えないし私が着るとやっぱりちょっと不格好だけど、すごい！特攻服だ！！(2回目)




これ……
左腕に“狂信遊戯”、右腕に“暴走遊記”って書いてある。


え……かっこいい……蘭と竜胆はこんなの着てるの？
くっそ見てみたい……





鏡を見ながらプルプル悶えていると、




＿＿ガチャ。





鍵の開く音が聞こえて、玄関のドアが勝手に開いた。




『……え』



「……」
「……」




……あ、死んだ。




なんと、蘭と竜胆が帰ってきてしまった。

目を見開いて私のことを見つめる2人。





脱ぐのが間に合わなかった。





…ま、まずい。
私今かなりやばい事してるよね。色んな意味で。








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