いや、ただ偶然出会っただけだけど。２【灰谷蘭】

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『そーゆーとこって？』



鼻を思いっきりすすりながら尋ねてみると
竜胆のため息が聞こえてきた。




「俺らだって何するか分かんねぇぞ」



蘭の笑う顔が見える。(指の隙間から)





『何するの？』



「……」
「……、」




嘘。

2人の言いたいことは分かってる。


でも、2人になら何されてもいいと思った。





「今は知らなくていーよ」


「さっさと帰んぞ」




私の顔を見ないように気を遣ってか、
私の前を歩く2人。



どうやらさっきの質問には答えてくれないみたいだ。



……2人の後ろ姿って何だか安心する。





『私、2人になら何されてもいいよ』



「…は？」




ハンカチで鼻を抑えながら、
今度はしっかりと目を見て話す。




「え……何、」



『2人になら、何されてもいい…』



「アホ」




コンッ！と手の甲で額を弱く叩かれた。




「何されてもいいって、
お前それ意味わかって言ってんの？」



『分かってる』





そう言うと、更に険しい顔つきになる2人。





「お前に手ぇ出すわけねぇだろ」


『え……』




少し怒ったようにそう言った蘭。

それは、どういう意味？





『私が……ブサイクだから？』



「……はぁ？」



『もっとカワイイ子の方がいい？
やっぱり私ってそういう対象には入らない？

2人、モテるしね』



「A！」





竜胆が私の両肩を掴んできて、言葉を制された。





『私、もう誰かに遊んでもら……』



「バカ、やめろ」





蘭が私の頬を両手で包む。

あ、ブッサイクな顔見られてる……。





「さっきのはそういう意味じゃねぇ。お前はそんな軽く手ぇ出せるような奴じゃねぇって意味。わかるか？」



『分からない』



「大事にしてんだよ分かれ」



『え……むぐっ』




両手をそのままギュッとされて
ただでさえブサイクな顔になってるのに、
余計に変な顔にされてしまった。





「あと他の男と遊ぶとかぜってぇ許さねぇから」




私の手を強く引きながら、前を向いたままの蘭。





「お前だけは、自分の体は大事にしろよ」



“お前だけは”って……





『蘭と竜胆は自分の体大事にしてる？』


「大事にしてんなら喧嘩なんてしてねーよ」


『だよな』




ふっ、と笑った竜胆。





『…2人ともかっこいいね』



「はぁ！？」




蘭が思いっきり振り返って叫んだ。声でか。





『助けてくれてありがとう』




「………やっぱ襲＿」


「兄ちゃん」


「……。」






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