いや、ただ偶然出会っただけだけど。２【灰谷蘭】

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『えぇどうしよう…やばいもう少しでお祭りじゃん…
髪型とかどうしたらいい……？』



「急にテンパるのやめな？」





思わず顔を覆って机におでこを付ける。



呑気にこんな事している間に
誰かに取られるかもしれない。




「もうさー、告白し…」



『しません』



「……」



そんな事したら二度と立ち直れない気がするわ。






すると、そんな私をジト目で見つめていた留美子が
頬杖を付きながらため息をついた。



「ねー、そういえばさ、
武蔵祭りって確か東卍のシマだよね？」



『トーマンノシマって何？』



「東京卍會の縄張りって意味！」





トウキョウマンジカイとは。


はて？




…あ、そういえば、
蘭が女の子に告白されている所を目撃してしまった日、
“トーマン”とか何とか、あの時蘭が言ってた気がする。




首を傾げていると、




「本当に疎いんだねそういうの……

東京卍會ってのは、暴走族だよ。」



『え』




“暴走族”という言葉に、思わず顔を上げた。




『え？まじ？？』


「そう、マジ。
灰谷先輩達とお祭りに行くとして
もし東卍と接触でもしたら……って考えると…」





ブルッ。
…寒気がした。




血の海が広がりそう。





「ま、あの2人ならあんただけは巻き込まれないようにって守ってくれそうだし心配は無さそうだけど……」




とは言いつつも、
眉間にシワを寄せて心配そうに顔を歪める留美子。






「つか、まだあの女の先輩こっち見てるし」




“放課後、チャイムが鳴ったらダッシュで帰りなよ”


と言う留美子。





え、まってそんな状況？




っていうか、暴走族が頭から離れない。





あの時蘭が“トーマン”って呟いてたのは
この事だったのか。


暴走族の縄張りに連れてくってことだよね。





……え……私とんでもない事したかな？

2人に謝ろ……。






あと、先輩が怖いから今日は早く帰る事にする。





蘭と竜胆にはメールをしておいた。









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