いや、ただ偶然出会っただけだけど。【灰谷蘭】

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最後にまた私に荒く口付けをして
“ユイコ”と2人で出ていってしまった。


結局、別れることが出来なかった。



＿＿トサリとその場に座り込む。




優希のブランドだって？私が？
…笑わせんな。




……つか、笑いたいところだけど生憎涙しか出てこない。しょっぱい。



携帯のカメラで自分を映してみると、
首筋に濃い噛み跡と鎖骨に赤い跡。




あーあ、こんなのじゃ、こんな顔じゃ、
待ってくれている蘭と竜胆には会えないな。





ユイコって子、本当にあの2人と約束してるのかな。

もししてたとしたらあの2人は“待ってる”なんて言わないだろうし。



さっき掴まれた肩、痛い。




フラフラと立ち上がって、空き教室を出た私。
誰にも会わないようにコソコソと階段を降りていく。


こんな顔で会いたくねぇよな。()



素早く靴を履き替え、外に出てみると
さっきより雨が酷くなっている気がする。

……傘もってきてない。




その時、ふと校門に立つ人影が目に入った。



蘭と竜胆だった。
傍にはバイクが2台用意されている。

2人はこちらに気付いていない。




2人は傘を持って、この土砂降りの雨の中誰かを待っている。



…私の事？
なーんて自惚れてみたけど、
生憎今の私に自信なんてものは無い。




＿＿“騙されてるんじゃね？”
優希のあの言葉が結構刺さってる。

優希の言う通りあの2人ってかなり人気が高いみたい。さっきだって女の子引き連れてたし。




すると、そんな2人の元に歩み寄る1人の人影。



『……え、うそだろ』



＿＿“ユイコ”だった。

……本当に約束してたのだろうか？





ユイコが2人に身振り手振り何かを話すと、2人は血相変えたように傘を放り投げバイクに乗り出した。



すると蘭がユイコにヘルメットを手渡して、
その後ろに…蘭の後ろに、ユイコが座った。


先程2人が放り投げた傘をしっかり持って、
腰に手を回して、ぎゅってしがみついて。




先行く蘭の後に続くように、
竜胆も走り去っていってしまった。






『……あー』



優希って、私の事好きじゃなかったんじゃん。
私だけ好きだったとかバカみてぇだな



今も、何？これ

失恋というものだろうか？




とぼとぼと、さっきまで蘭たちがいた校門に差し掛かる。


当たり前だけど、誰もいない。




帰りたくないなぁ。
今日もバイトないし、どうしよ。





雨、冷たい。




さむい。




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