いや、ただ偶然出会っただけだけど。【灰谷蘭】

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＿＿＿ついにやってきた。
放課後が。


授業とかもう全然頭に入ってこなかったわ。





「んじゃ、頑張って」


『……頑張る』




留美子は先に帰っていってしまった。
やべぇ緊張する。何でだ。




優希にはこの後空き教室に来てもらうようにメールでお願いしておいたからあとは言うだけ。

そう、言うだけ…




気を落ち着かせる為、
外の空気を吸おうと教室を出た時だった。





「…お、Aじゃん」


『あ』




目の前には蘭と竜胆の2人。…が、その後ろには女子たち何人かを引き連れている様子。

え、待ってなんか先生もいるじゃん。
もちろん女性の。

何、もう虜にしてんの？この兄弟怖。




「…今から？」


『あ、う、うん。』




なんかちょっと吃ってしまう私。

その理由はあれだ、後ろにいる女子たちからの視線が怖すぎるからだ。



「帰り、雨気を付けろよ」


『雨？』



外を見る竜胆につられて外を見てみると
かなりの土砂降りだった。

いつの間にこんなに降ってたんだ。優希の事で頭がいっぱいすぎてそれどころじゃなかったわ。






急に無言になった蘭だったが、
またすぐに口を開いた。



「……やっぱ待ってる」


『いやいいよ、このくらいの雨なら1人でも帰れるし』


「うるせぇな」



えっなんか理不尽じゃね？？？

でも心配してくれてるのかなと思うと…
……どうしようかなり嬉しい。





「ねぇ蘭くんー、じゃあ一緒に帰れないの？」
「って事は竜胆くんも残るの？」



そんな様子を見ていた後ろにいる女の子たちが2人に腕を絡めて上目遣いで見上げている。

……あれは可愛いわ。



『あ、じゃあ時間だから！』


「あ、」




でもやっぱ、私からしたらそれはモヤモヤする。

2人は全く相手にしていない感じだったけど…
やっぱ、慣れてるのかなぁ


…このままだと顔に出そうになったので
足早にこの場を立ち去った。





あの2人、本当に帰り待ってそうだな……
なるべく早く終わらせよう。





小走りで優希との待ち合わせ場所に向かった。

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