いや、ただ偶然出会っただけだけど。【灰谷蘭】

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私が灰谷兄弟と接触したという噂は瞬く間に学校中に広まった。

もしかしたら学校外にも広まっているかもしれない。
いや絶対広まってるわこりゃ。





もちろん、その噂は優希の耳にも入っているわけで。






「灰谷兄弟といつ知り合ったの？」
と、心配して尋ねて来てくれた。


『昨日のバイト帰りに色々あって…』


「そうなんだ…気をつけろよ」





そう言ってまた私の頭を撫でると席を立った優希。


……え、それだけ？





『あの、優希』


「ん？」


『今日さ、どっか寄って帰らない？』




勇気を出して誘ってみた。




「でも俺、今日日直＿＿」


『待ってるから…』



ちょっとだけでいいから、と言うと
「分かった、放課後待ってて」と言ってくれた。





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『誘えたよ！！！！』


「よかったね」




様子を見ていてくれた友達にとりあえず報告。



蘭…と、竜胆……
呼び捨てにするの慣れないな。


あの2人に今日誘われたけど、彼氏がいるからってちゃんと断ったから大丈夫だよね。





普通に誘ってくれたんだと思うけど、なんか申し訳ない気がして……って、何考えてんだ。


別に2人の事は考えなくても、
今は優希が応じてくれた事を素直に喜べばいい。


…のに。





なんか気になってしまう。





『でもさ、なんでそんなに有名なの？
灰谷兄弟って』


「え、ほんとに知らない？？」




何故か驚かれる。




「あの2人、まじで喧嘩が強いんだよ」



『……うん、』




それは大体分かったつもりだ。
昨日の喧嘩も目の当たりにしたし。




「六本木を仕切ってるとか何とかで、
カリスマ兄弟、なんて言われてて…」



『へぇ……』





カリスマ兄弟、か……

確かに、何かしら人を惹き付ける様な
そんな雰囲気を纏っていた2人。


しかも2人とも、かなり美形だったしね…。





『つかなんでそんな事知ってるの？』


「こんなの周知の事実だよ
知らないのあんたくらいじゃない？」




それはまじか。そんなに有名だったのに、逆になんで知らなかったんだろう私。



「しかも、あんな美形だから別の意味でも人気だし

あんたが関わった事、学校中に知られてるから気をつけなよ。女の先輩とか、ね……」



『ひぃ』





それはまじでシャレになんねぇわ。






未だにプルプルと震える手で、2人に貰った連絡先のメモを携帯のカバーに挟み込んだ。






「震えてんの草」


『やめろ』





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