いや、ただ偶然出会っただけだけど。【灰谷蘭】

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『＿＿＿って事があったの！！』


「え……待って、灰谷って言った？」






学校に着くなり、友達に昨日の出来事を話していた。
…が、灰谷という名を聞いてなぜか驚かれた。






「ちょっと……ほんとに灰谷？あの有名な？」


『どの有名だよ。』





そういえば昨日灰谷さんも私に“灰谷”って名前についてしつっっこく(失礼)聞いてきたよな……





「目を付けられたらあんたもう最後だよ…」


『いやそんなにやばいの？』




え、なんでそんなにこの世の終わりみたいな顔するの。今になって怖くなってきた。


……いや、確かに人の顔面にコンクリートブロック投げつけるような輩だもんな……
と、私も一緒になって絶望する。





そんな時だった。





「A！」



『！優希！』





優希が私に声をかけてきたのだ。
友達は気を使って席を外してくれた。




「今朝電話に気付いたわ
わりぃ、バッテリーがちょうど切れちまって」


『あ……』




やっぱり、電源が切れてただけなんだ。
疑ってしまって申し訳ない。





『ううん、こっちこそごめん
あんな夜中に電話なんかしちゃって。

あの、それでさ＿＿＿』



「あ！今日オレ日直だから、もう行くな」




そう言って私の頭を撫でると、
優希は颯爽と教室を出て行ってしまった。






……今日も誘えなかったか。


クラスが離れてると…いや、別に会いに行けばいいんだけど。話す機会も少なくなるしちょっと不便。



そういや最近、ずっと優希と遊びに行けてないな
…なんて少し寂しい気持ちになる。






1人でため息を付いていると先程の友達が戻ってきた。




「……ねぇ、2人とも最近喧嘩でもしたの？」


『…やっぱそんな風に見える？』


「あんた人気だから、周りの男子が噂してたよ
“別れたんじゃね？”って」


『あー……』





その言葉に思わず苦笑いを浮かべた。




別に、別れてはいない。
まさか周りにそんな風に思われていたなんて。





「あ、先生そろそろ来る頃だから私も席に戻るわ」






もうそんな時間か。



頬杖をついて窓の外をボーッと眺め、
さっき友達が言っていた言葉を思い出す。





…“灰谷”さんってそんなに有名な人なのだろうか。


そういえば2人はあの後、あれだけの人数を相手にして無事だったのだろうか。



すごい笑いながら喧嘩してたけど。
思い出すだけで怖ぇよ。






……つかなんで私はあの2人の事を気にしてるんだ。








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