検索窓
今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:115,949 hit

ページ6





でも、それでも。


目の前に立つ彼の姿、笑みは全く変わっていない。
だからどうしても信じられない。





『ねぇ、本当に私の事を憶えていないの?』



「……」





自然に溢れた涙を隠すことなく童磨に尋ねる。
少しでもいい、何でもいいから憶えていて欲しかった




「涙………あれ、」



そう呟いた童磨の表情が強ばり、そして無言になる。





しばらくの間無言で私をじっと見つめていた童磨だったが、次第に表情が歪んでいく。


……頭を抑えて。





「っ……」



『ど、どうしたの…?』




もしかして、頭が痛いの?
どこか悪いところでも?



聞きたいけど、私の体は緊張で強ばっている。
手先が震えて声も出ない。


それほどショックだったのだ。






「……っ……」





ふと、顔を上げた童磨がゆっくりと口を開いた。


「…………A………………、」







小さな声だったけど、今確かに童磨は私の名前を呼んだ。

それに対し堕姫、妓夫太郎、私の3人は頬を緩ませる。

……だけど。





「って、誰……………?」



『……っ』





あぁ、やっぱりダメだった。
最悪な事態が起きてしまった。





途端に視界が歪んでふらつき、足元がおぼつかない私。



「ちょっ、A…」



堕姫がそんな私を支えてくれた。





最悪だ、これは地獄の果てで引き裂かれたせい?
それとも私が前世で人を殺めてしまった代償?

どうして童磨がこんな目に……




色々な感情が混在して一気に涙が溢れ出し、
童磨の顔を見上げたとき、息を飲んだ。





「…あれ………」




静かにポロポロと涙を流している、童磨。





「えっ、童磨さん…?」



堕姫と妓夫太郎も困惑。
クラスのざわめきも途端に大きくなった。





「…っおかしいな
ごめんね、いきなり…
あはは、君の涙を見たら思わず。」



泣いてる童磨も前と変わらない…

そういや地獄に行く前もこんな感じだったな、と童磨の涙に見惚れてしまっていた。



とりあえず、以前と変わり無くとても綺麗だ。





「……えっと、君の名前はなんだっけ?
俺は高等部三年の童磨だよ

……って君、俺の名前知ってたよね、確か。」




あはは、と涙を拭いながら私に近づいてくる童磨。





『……私はA
童磨って呼んでもいい?』



「好きに呼んでよ!

…って、あれ、A…?
さっき俺が言ったのって、君の名前と同じだったよね…?」



『……』





無意識に呟いたのか、私の名前を。



6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (403 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2205人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , キメツ学園 , 童磨
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ふづき(プロフ) - 久しぶりにタイトル名で検索して一気見したのですが、更新されていてとても嬉しかったです。大好きな作品なので応援しています😭 (2月17日 1時) (レス) id: 29ecdacbc9 (このIDを非表示/違反報告)
花怜?ゃ?(プロフ) - 一気読みしてきました!もう心臓バクバクで午前2時ですが寝れません!!大好きです!! (10月16日 1時) (レス) @page20 id: 9817e1bb68 (このIDを非表示/違反報告)
Rigel(プロフ) - コメント失礼します(*´-`)めっちゃ面白いです!!続きが気になります!!体調にはお気を付けて、更新頑張って下さい(*´꒳`*) (2022年3月23日 21時) (レス) @page20 id: 7f1f562d52 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - 初コメ失礼します!ずっと更新楽しみにしてました(;_;)またおもちさんの書く童磨が見れると思うとすごくテンション上がります!!これからも更新頑張ってください!楽しみにしています! (2021年9月27日 23時) (レス) id: f7ce79b087 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - あみさん» こちらこそ嬉しいです……ありがとうございますヽ(;▽;)ノ更新頑張ります!ありがとうございます…!!(゚´Д`゚)゚。 (2021年9月13日 21時) (レス) id: f4edea90ba (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おもち | 作成日時:2020年1月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。