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結局、信者が数名戻ってきたからと部屋を追い出された私。
童磨に手渡された簪の入った木箱を両手に部屋を出ると、そこには信者たちが列を作っていた。
実に申し訳ない。待たせてしまっていたのか。
「A様!今日もお美しいですね」
信者の女が声をかけてきた。
いや、あなたの方が奇麗だと思う…。
口下手というか、少し人見知りな私には返す言葉が見当たらず、とりあえず笑って誤魔化した。
童磨にはちゃんと話しなさいって言われるけど。
いや私のお母さんかよ。
「それでは」
信者はそんな私に対し嫌な顔ひとつ見せず優しく微笑んでくれた。いい人間だな。
どうせ食べられてしまうんだけど。
その後ろに並ぶ信者は順番をしっかり守って長い列を乱したりしない。
それを死んだ目で見つめる私。
何故死んだ目なのかと言うと、今から部屋に戻って考えを纏めないといけない。
ところでなんの考えを纏めればいいのだろう()
『……はぁ』
何度目か分からないため息をつき、童磨の部屋の隣に新しく作ってもらった自室へと戻った。
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…何故 “愛してる” なんて言ってしまったんだろう?
ずっと昔から口に出さないように我慢してきたのに。
一緒に居られるように、そんな感情を童磨に悟られないように。
『ぐぅぅぅぅ……わぁぁぁ……』
頭を抱えて唸る、唸る。
さっきからずっとこれ。
でも答えが見つからない
どう言い訳したらいいんだろう。
『……無理……』
童磨に迫られる予感しかしない。
__そんな時、鳴女ちゃんの琵琶が響いた。
『……へ、』
顔を上げると目の前には無惨様。
そして私の隣には童磨。
あれ、童磨って今信者と一緒に居たのでは……?
ここに飛ばされたってことは急にいなくなったって事で驚かれるんじゃ……、
私が不安そうに童磨を見つめていたからか、私の気持ちを悟ってくれた童磨が「信者には見られてないよ」と言って笑った。
『それならよかった』
私もそれにつられて笑う。
……あ、
そういえば、目の前には無惨様が居るんだった。
完全に忘れてたけど殺されないよね?
「お前の考えている事は分かっている」
『ですよね。』
上から睨めつけられる。怖いです無惨様。
「急にどうされたのですか?
何か不祥事でも?」
隣でワクワクした様子で目を輝かせた童磨が無惨様に問い掛けた。
嫌な予感しかしないのだが。
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おもち(プロフ) - ゆめふひさん» そうなんですよッッッッ!!?下心丸出し仲間ですね!!!(o´艸`) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆめふひ - 実はお互いに、鬼だから.........。と思っているけどその感情にきずいてないだけなんですね!!素敵(///ω///)抱かれたいわ(照)(いつもの下心) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 027152ac96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ももさん» わわわわかってくれたんですか……!!!?感激すぎる……゚(゚´Д`゚)゚。ですよねですよね!!?(自分で言う)こんな童磨萌えるなぁと思いましてッッ!!! (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
もも - 「取られたから」ってヤバイ!!(独占欲…)そんな素晴らしい言葉があったとは!! 離れた時間が愛を育てる感じがたまらないですね(>_<) (2019年12月16日 19時) (レス) id: 059a63c2b5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - setuna7014さん» あぁぁぁあ!!!!(汚い高音)本当ですね!!!!間違えてます!!ありがとうございますッッ!!!!(〃▽〃) (2019年12月14日 19時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2019年12月1日 20時