136 ページ37
・
『……。』
「………諦めなよ。」
睨み合い続けて数分。
童磨が浮かべる笑顔の圧に折れてしまった私。
どっちみち、逃げられなかったんだろうけど…
『昔の事を、思い出して。』
「それって…人間の頃の記憶?」
すると私が思っていた以上に深刻そうな顔をした童磨。
そりゃそうだ、彼は人間の頃の私を知っているから。
『ほら忘れよ忘れよ、
今はとりあえず童磨を離したくない』
「……うん」
なんだか珍しい、童磨がここまで表情を崩すなんて。
「あんまり思い出させたく無かったんだけどなぁ…
まぁいいや、Aは俺だけのことを考えていればそれでいい。……ね?」
それはどういう意味かな。
かなり笑顔が怖いけど。
『私の頭の中はいつでも童磨の事でいっぱいだよ』
だから私も満面の笑みで返してやる。
むふふ、とニヤけながら童磨を力いっぱい抱きしめると私の背に手を回した彼が小さく笑った。
相変わらず童磨の体は冷たくて気持ちがいい。
「って、さりげなく俺の体触ってるし…」
『最高です』
やれやれと笑う童磨も目の保養。
私からすると彼は何してもかっこいい。
「簪、今渡してもいいかい?」
『あ』
簪、童磨に預けたままなんだった。
やっぱり預けておいてよかったな…
あの激しい争いだ、絶対壊してたもん
「取ってくる」
童磨はよいしょ、と立ち上がって部屋の角にある大きな棚に向かう。
『……』
「って、なんでくっついてるの」
実は私も童磨にくっついて歩いていた。()
今なら湯浴みにもついていけるくらいの勢い。
「もー、可愛いなぁ!
そんなに離れたくないのかい?」
すると童磨は満面の笑みで私の頭をわしゃわしゃと撫で回した。
本当私、今日はどうしたんだろう?
ここまで甘えた事は今までに数える程しか無いのに
でも、そんな童磨の笑顔を見る度に毎回好きだなぁと実感する。それは何百年経っても変わらない。
『童磨、愛してる』
つい、思っていた事を
口に出して言ってしまった。
なんていうか、勢いで。
「………えっ?」
間抜けな顔で私を見つめた童磨を見て、私が今とんでもない事を言ってしまった事に気がついた。
『…………あ。』
・
1491人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもち(プロフ) - ゆめふひさん» そうなんですよッッッッ!!?下心丸出し仲間ですね!!!(o´艸`) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆめふひ - 実はお互いに、鬼だから.........。と思っているけどその感情にきずいてないだけなんですね!!素敵(///ω///)抱かれたいわ(照)(いつもの下心) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 027152ac96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ももさん» わわわわかってくれたんですか……!!!?感激すぎる……゚(゚´Д`゚)゚。ですよねですよね!!?(自分で言う)こんな童磨萌えるなぁと思いましてッッ!!! (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
もも - 「取られたから」ってヤバイ!!(独占欲…)そんな素晴らしい言葉があったとは!! 離れた時間が愛を育てる感じがたまらないですね(>_<) (2019年12月16日 19時) (レス) id: 059a63c2b5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - setuna7014さん» あぁぁぁあ!!!!(汚い高音)本当ですね!!!!間違えてます!!ありがとうございますッッ!!!!(〃▽〃) (2019年12月14日 19時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おもち | 作成日時:2019年12月1日 20時