【鬼滅の刃】彼をどうしても振り向かせたい 弐【童磨】

７３ ページ24

･




肉が裂ける音と共に私の横腹に小刀が突き刺さった。




「……何で、」



訳が分からないといったような女の表情。
童磨も目を丸くしてこちらを見つめている。






『私も１回毒を食らってみたくなって』()



そう言うと童磨は「やっぱりAは面白いねぇ」と笑った。やだ可愛い。




「は、はぁ……？…まぁいいわ、ふふふ

この人に使った毒よりも強い毒を塗ったから！！
この鞘に毒を仕込んであるの。残念だったわね。」




あ、それ本当？

確かに心臓がバクバクしてきた。動悸ってやつか。




『ッ…ゴホッ……』




その瞬間噎せ、血が床に落ちた。

体の中で発生した毒のガスが回ったのか、
肺がとても熱い。溶けてきたのか？


目からも温かいものが流れ出てくるのがわかる。
拭えば血が私の手の甲に付着した。


視界がグラグラして、まともに息が出来ない。

これはなんの毒だろう？





手先が紫色だ…何かキモイな。





「藤の花の毒よ。
この人に使ったものも藤の花の毒だけど薄いものだったのよ。
あんたには本気で死んでもらいたいし」




『おぉ……だからか、…ッ…ぅっ……』



「え……A？」





私の様子に驚いた童磨。

扇を閉じると、足元に大きな血溜まりを作っている私の元に近づいてくる。




「ッ……この女に近づいたら同じ目に合わせるわよ！！」




童磨に本当に恋をしていたのか、どこか切ない表情。
……本当に気の毒だ





『ッげほ……っ』



「…A、」




そんな女を無視して私の前にしゃがみ込む童磨。
いやいや、そこにいるとあんたも危ないから。



『これ……本当強力だね……
だから藤の花は嫌いなんだよ……』




大丈夫、
毒は私の体の中で徐々に分解されてきている。


それに伴い、段々軽くなる体。





『よっこいしょ』



立ち上がった私は女に向き直り笑顔を作ってみせた。





「な……なんで……」



『ごめんねぇ。私も毒、分解できちゃったみたい』





にひひ、と笑うと童磨に
「そういうのやめてよね、びっくりしたんだから！」
と怒られる。

怒り方も可愛い、もう大好きだ。(真顔)






『さて、楽しかったね。
でもお遊びはもう終わりにしよう』



と言って指を女に向けた私。






「は……これが遊び？ふざけんじゃ…」





『血鬼術』







「……！」





震えながら後ずさる女。


ごめんね。



貴方は知りすぎた

７４→←７２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す