【鬼滅の刃】報われたい 弐【我妻善逸】

８６ ページ37

･




「炭治郎にはあんまりいじめるな、とは言われてたけどさぁ……無理だよね、そんなの」



『…………;;』





いつものおちゃらけた態度の善逸の面影は
今はどこにも無い。


どうしたものか。






「俺の気も知らないで……ね」



『ひ、ひぃ……』





ギラッギラと光り出す善逸の目が本当にこわい。






「ねぇ、あんまり心配させるような事しないで」



『……』




冷たい手で頬をするりと撫でられ、少しビクついてしまう。善逸寒いのかな。手が冷たいなぁ。





「Aちゃんがいなくなったら話にならない
その時は俺も死ぬから。

……まぁ、そんな事はさせないけど」



『あの、……ヒッ』





私の首元に顔を埋めた善逸。
突然何を、と思った瞬間

首に少し、鈍い痛みのような感覚。


…え、なに、吸われた？






『え、善逸……、』


「ん？」


『今なにを…』


「あぁ、……これ、見てて腹立ったから
俺ので消してやったの」





童磨につけられたあの首の赤い跡だろうか？

あれは血を吸われたときに出来た内出血だと思ってた。




「あれさ、接吻後なんだよね
気づいてた？」


『え、』


「所有物みたいなもんだよ」


『うぉぉう！！？』


「何その悲鳴」



いやでも、あの鬼がわざわざそんな事するわけ。

敵同士でもあり初対面だ。







「………そんなだから男に狙われるんだよ」



『……え、ぜん＿＿』






＿＿彼の名前を呼ぶ前に、口を口で塞がれた。





いつもの優しいそれとは違い、噛み付くような。
まるで怒っているような。


そんな口付けは初めてだったから混乱してしまう。






「……わかってる？
目の前の俺は “男” で、自分は “女” だってこと」



『……！』





さすがにこの状況が何なのかくらい理解出来てる。

押し倒されて腹の上に善逸が跨っているような、そんな状況は今までに一度も無かったし。




「街ですれ違う男に見られてたり
度々触られそうになってたり

それ全部躱すのに本当苦労したよ


Aちゃんは可愛いから
いつも狙われる」


『……ッ』



そしてまた、荒い口付けが降ってくる。

こんな荒れた善逸は滅多に見られない。
レアだ。



こんな状況で喜んでる私も相当おかしい奴だろう。





「……え、なんで笑ってるの？」



『むへへ…………え？あ、ごめん
こんな善逸見るの初めてで嬉しいし

こういう荒いのもいいな、って………わっ！、』






両手を上で束ねられてしまった。

８７→←８５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す