【鬼滅の刃】報われたい 壱【我妻善逸】

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「ねぇ君さ」



うずくまって鼻をすすっていると、
突然後ろから声をかけられた。





『……はい』



「うわ、ひどい顔…」



『酷くね？』





初対面でそれ酷くね？





男はあははっと爽やかに笑うと私に近づいてきた。







「君名前は？」


『……貴方は？』





名前は自分から名乗るものと聞いたので質問を質問で返す私。





「僕は桐山信次郎。はい、君は？」


『……天宮Aです』




警戒しながら答えるとその男…桐山はニタリと笑った。

その笑みは少し不気味で、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ寒気がした。







「やっぱりかぁ〜……
あの噂で有名な子だよね。本当なの？」


『違います。』


「だよねぇ、自分ではそう言うよね」




その言い方だとまるで私が嘘をついているみたい…






「って、そんなの僕はどうでもいいよ。
ただ、」



『ただ？』






桐山は表情を少しも変えず、こう言い放った。







「君が欲しい」



『…は？』






本格的に何言ってるんだこいつ状態。
笑顔でさらっと何言ってるの？


ちょっと怖いんだけど。




余計に顔を引き攣らせ、後退りしてみる。






「僕と組んで欲しいんだよ」



『……へ』



「ちなみに、丙(ひのえ)が僕の今の階級になる」



『』






(えっ私なんてまだ癸(みずのと)だよ)


私と目の前の男の力の差は全くと言って良いほど違うもので、遠くかけ離れていた。






「……ねぇ、頷いてくれないの？」


『私なんて足でまといにな……』


「ならないよ。君知ってるの？
上の人達の間では “天才” なんて呼ばれてるんだよ」


『』





さっきから衝撃的な事ばかり聞かされてる気がする。




『誰が天才…？』


「君だよ」




私 だ っ た 。






「…そうだなぁ。……善逸君だっけ？｣




桐山はそう言うと、再びニヤリと不気味に笑った。
……嫌な予感しかしない。






「その子が居るから、僕と組めないのかな？」






そして次にニコリ、と笑う桐山。

＿＿その瞬間、悪寒が走った。





なんとも言えない不気味さ。




正直に、怖い、なんて思ってしまった自分がいる。






「震えてるの？怖くないよ。ふふ」




いやその笑い方が怖いんだって。






「君が大人しく頷いてくれたら彼には何もしない。
でも断ったら……わかるよね」



『…っ』





桐山の指が私の頬を撫でた。






＿＿こいつ、本気だ。

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