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【PCISに入った経緯】
彼の父親の職業は警察官であった。父親はいつも忙しく、あまり話した事はなかったが“悪”を倒す“正義”という姿勢に憧れていた。
ところが彼は零と同じく能力保持者。当然ながら
周囲の人々から差別的な目を向けられていた。
「あの警察官、能力者だって」
「やあねぇ」
「怖いわあ」
「なんで能力者なんかが公務員なんだろう」
「そういえばあの人の息子って……」
うるさい。
父さんだって、俺だってこんな能力を持ちたくて産まれたんじゃない。俺達は犯罪なんてしていない。そんな奴らと一緒にしないでくれ。それに父さんはそんな奴らと真逆な存在だ。犯罪者を捕まえて治安を維持しているんだぞ。能力者ってだけで……。
「いや、だから君、能力者だろう。
人間じゃない力を持っている」
「つまり君は、人間じゃないんだ」
ショックだった。
世間の言う“悪”はまさに
“自分達”だったんだ。
「……俺は」
「俺は人間だっ!」
「犯罪者でも化け物でも悪でもない」
「お前達の同じ人間だ!」
「……ただ」
「ただ、ちょっと、特殊なだけで……」
いくら説明したところで
冷ややかな視線は変わらないまま。
そこで彼はこう考えた。
──能力者が犯罪をするからこうなるんだ。
──能力者による犯罪がなくなれば、
この差別はなくなるはず。
──ならば。
──犯罪者を捕らえる術があるのは。
警察官だ。
その頃はちょうど彼は中学生であり、
PCISが結成されたばかりの頃であった。
PCISとは能力保持者による犯罪を
捜査する組織のことである。
──俺にぴったりじゃないか。
それまで組織の存在を知らなかった彼は
PCISの所属を志すようになった。
大学では法学部に進み卒業し、国家公務員試験を受け合格して警察官になり、そこからPCISに所属して2年が経ち、
現在に至る。
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作者名:寧々音 | 作成日時:2018年12月24日 13時