8話 ページ9
その5人の前でしばらく立ちつくしてしまった。
だってこの方達は鈴の推し＿すとぷりメンバーだったのだから。
いや、まだ確証は持てないが。
「あの、もしかして黄戸 奏さんの付き添いでしょうか？」
直接的な表現は避け、遠回しに訊いてみる。
「はい、知り合いです。すみません、こんな所でたむろしてしまって」
多分ななもり。さんだ。この人。
「あの、取り敢えず入って下さい。」
居間へ案内して、淹れ直したお茶を出した。
「ありがとうございます。」
一つ、質問をしてみた。
「あの、皆さんってお酒はお好きですか？」
正しければ、
ななもり。→苦手
ジェル→飲める
さところ→好き
莉犬→飲めるっちゃ飲める
的な回答が返ってくる筈。
「あー…俺以外は飲めますよ。特に右の2人は酒飲んでる時が1番幸せってぐらい好きですね。」
ドンピシャな回答が来た。
核心をつこうと一番訊きたい質問に少しかすったものを投げかけた。
「なるほど。…あの、もしかして、インターネットで何かやってますか？」
全員の表情が固まった。
「はい…やってます…」
少し待っててくださいと言って居間を出て、学生時代の自分の部屋に向かった。
そこには、歴代ペンラやグッズが全て仕舞われている。
だからグッズが届いた時やライブの時は必ず実家に戻るのだ。
ペンラを入れた痛バと缶バッジの入った箱を持って居間に戻った。
「お待たせしました。」
ちゃぶ台に置くと全員の表情だけでなく動きも止まった。
「え、もしかして…」
莉犬くん、察しがよろしい。そしてお声が可愛い。
「はい、すとぷりすなーやらせて貰ってます。すとぷり絡みのサイト全般のユザネはすずね。です。」
するとさとみがいきなり声を発した。
「すずねちゃんって確か握手会でるぅとの所で号泣してた子だよね？」
こっちまで聞こえてたし、るぅとが話してたよ。と笑っていた。
嬉しいやら恥ずかしいやらで、穴があったら入りたい。
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