1話 ページ2
「あーかわいい…何をどうしたらこんな尊くなるのー…」
バスの中、鈴の呟きに玲が苦笑した。
「どんだけるぅとくんLOVEなの、」
「だってさぁ…」
鈴の熱弁を制するように、
「あーおけおけ分かった。」
と玲が割り込んで消火した。
夏休みで、玲と鈴は実家へ帰省する。
新幹線のホームは混むだろうという事で、駅までバスで一緒に行ってホームで解散して実家で合流。
今は、かなり時間が空いたため駅のカフェに入っている。
「お腹すいた、時間ちょっと掛かっちゃうけどご飯系頼んでいい?」
「3時まで時間あるしいいけど今2時だよ?ご飯の時間にしては遅くない?」
「上司に11時に期限が今日の仕事頼まれて昼ご飯抜いたの、折角1時に帰れるようにしといたのにさ。」
「あちゃー、災難だったねー」
玲が甘やかしてくれて、その優しさでつい愚痴が零れた。
「ほんとだよ、なんだってあんな量押しつける訳?」
「んー、鈴がシゴデキだから?」
「シゴデキって…部署内屈指のでくのぼうの私が?」
「でくのぼうって…」
周りが出来すぎるだけじゃない?そう言おうとした玲を手で遮る。
「どっちにしろまだ研修終わったばっかでまだグラグラの新入りに仕事頼むのは頭おかしいって。絶対勉強の範囲じゃないし」
そう。
鈴は「勉強(研修)」の体で押しつけられたのだ。
大手企業な上に比較的ホワイトだが、厄介者の一人や二人はいる。それを思い知らされた。
「お待たせしました」
それを振り切るように頼んだサンドイッチにかぶりついた。
「ん、美味しい!」
「食の力って凄いね…」
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