私が書きたい事を書くだけ。 (ページ1)

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21時の待ち合わせ【stxx】【桃】※ ページ1

都内のバー【苺香ｰメイカｰ】の中。
｢こんばんは。｣
金曜日の21時頃、必ず一人の女が入ってくる。
背が低く、幼い顔立ちを誤魔化すように眦を跳ね上げているその女は今日もガラガラの店の中でわざとらしく迷う素振りを見せながら俺の隣に座る。
｢シーブリーズ、下さい｣
いつも頼んでいるものだからか口からそのまま滑り出すように注文すると、人心地がついたらしくおとなしくなった。
シーブリーズ(Sea Breeze)はいわゆる
《レディキラー》と言われる部類のカクテルだ。

自らの前に置かれたグラスを指先で持ち上げて唇に当てる様は普段のイメージが拭われるほど色っぽく、魅力的だった。
少し酔っているのか彼女の身体に目が行く。
顔は幼いが体つきは大人びているのが恐ろしい。
少し気を抜いたら理性を飛ばすかもとため息をつきつつ自分のグラスを手に取る＿事は叶わなかった。
「んっ……」
彼女が右腕に寄りかかってきた。
カクテルを傾けるつんとした表情は崩れ、目元も眠そうにとろんとしている。
またか。酒代を払って店を出た。
彼女は先に払っていたらしい。
毎度ながら、準備の良すぎる女だ。