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鮮やかな金色の髪の青年が、銃をこちらに向けて口角を上げていた。
即座に、うらたさんは座っていたイスを青年に向って蹴飛ばした。その隙を突いてナイフを取り出し距離を縮めるも、イスはなんなく避けられドアの向こうの壁に激突し、跡形もなく砕け散った。
目の前の光景に、付いて行けない。
黒光りするそれを初めて目にして、初めて突き付けられた私は金縛りを起こしたかのように固まる。こういう状況はドラマや映画でよく見るけれど、実際はこんなに怖いのかとふと思った。
「センラてめぇ…。挨拶もなしにドアを爆破して登場とはいい度胸だなァ?」
「それはすいませんねぇ」
全く謝意が感じられないトーンで謝罪して、センラと呼ばれた青年はへらりと笑った。穏やかな雰囲気の京都弁と人当たりの良さそうな笑顔が、どうにもこの空間とミスマッチで緊張感がない。
うらたさんは意識をセンラさんの方に向けたまま、呆然と床に座り込んだ私を一瞥し舌打ちした。…そうだ。センラさんと対峙しているこの状況で、私が物凄く邪魔なのだ。
恐怖でマヒしそうな脳を必死に動かして、どうすればいいのか、どうしなきゃいけないのか考えた。そもそも、センラさんは何者なのか。格好といいうらたさんへの口振りといいマフィアなのは間違いないんだけど、緑赤の方ではないだろうし…。
その間もマフィア二人は「なんで来たんだよ」「言わなくてもわかるんやないですか〜?」「てめぇの行動が理解できる程変人極めてないんで〜」なんて狐と狸の化かし合いみたいなやり取りを続けている。互いに銃とナイフを持った状態でこんなに余裕がある二人が理解できなくて、一歩間違えたら死ぬ状況に慣れているのかと思うとさらに恐ろしかった。
「…それで、そっちにおるんが例の指輪無くした子?」
突然話を振られて、びくりと肩を震わせる。彼もまた、対峙したうらたさんから意識を離さないまま、興味深そうに首をかしげて私を見た。どこか翳りのあるトパーズのような瞳に射抜かれて、私はえっ、あ、と返事にならないほど掠れた声を上げるしかない。
「はじめまして。紫黄幹部のセンラっていいます。どこの誰か知らんけど、君をかっさらいに来ました」
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ろんでるで(プロフ) - 愛河Ayaさん» コメントありがとうございます〜!書き方は少々工夫しているので、そう仰って頂き光栄です。応援ありがとうございます! (2022年1月16日 11時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
愛河Aya - 書き方が好みなのとお話やパロがすごく好きです!更新頑張ってください!応援してます! (2022年1月15日 23時) (レス) id: 46595dc54d (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - ハツル氏さん» コメントありがとうございます〜!更新頑張りますね。応援ありがとうございます! (2022年1月8日 0時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - 凛月花さん» コメントありがとうございます〜!描写や構成は力を入れた部分なので、お褒めいただき嬉しい限りです。前作に続きお読みくださりありがとうございます! (2022年1月7日 23時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ハツル氏 - いつも応援してます!更新頑張ってください! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 5982f92ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろんでるで | 作成日時:2022年1月6日 18時