マフィアのズボンを下げてしまった。【skt】

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坂田って本当は物凄く頭がいいんじゃないか。


認めてないけど。いや、認めるのが怖いけど、いつからかそう思うようになっていた。…坂田は自他共に認める本能タイプで、行動の意図が読みにくく自由奔放。それ故に彼は暴れまわった後の処理なんかは苦手だ。苦手な…はずだった。

後処理のこともあって、坂田は常に頭脳派の部下と行動させている。いつだったか、その部下が緑赤を裏切って、俺が拷問を行ったことがあった。その時にたまたま、聞いたのだ。


「丁度いいから聞いとくわ。坂田って普段どんな感じなの。後処理は全部おまえがやってんだっけ？」

「っひ、いや…」

「なに、早く言わねぇともう一枚爪剝ぐけど」

「さ、坂田様はたまに、お一人で後処理をなされることがあります…」


具体的にいつ、と訊いて驚いた。なんでも、どっかのパーティで揉めてボコった相手がとあるマフィアの幹部だったとき。坂田はなぜか「後は俺に任しとき〜」って部下を帰らせた。んで、その幹部を助けにきた仲間もボコって、その場でグループごと壊滅させてしまったらしい。

俺への報告では『偶然にもその幹部の仲間が裏切って、内部抗争ののち壊滅』ってなってたし、部下も坂田から口止めされていたって。さらに、なぜ坂田がそのことを隠してたのかというと、「壊滅させたマフィアはうらさんを狙っていて、うらさんにアイツらを会わせたくなかった」から。…これで、坂田に対するイメージがぐにゃりと歪んでわからなくなった。なんなんだよ、その理由。賢いのか馬鹿なのかはっきりしろよ。


この一件から、なんとなく坂田を観察するようになって、一ヶ月が過ぎた頃結論が出た。坂田は頭の回転が早すぎて逆に困るため、あえて自分の脳を無視して本能に身を任せているんじゃないか。いざ真剣に頭を働かせれば、まさに天才なんじゃないかって。


…まあ、どうして自身の聡明さを隠しているのかは知らないが、俺は坂田を信じてる。こんな職業でアレだけど、それこそ本能が信じてる。アイツが隠し通すかぎり、俺がアイツの頭の良さを認めることはない。


でも、それが秋鳥Aを疑わない理由にはならないんだ。


何を思って彼女を緑赤の拠点に入れたのか、昨日の様子から見て坂田に聞いてもたぶん無駄。だから、まず秋鳥から情報を得なければならない。エレベーターでなにがあったのか。


だって、ベルトをしたズボンが簡単に下がるわけないんだから。

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