小さなハッカー【名探偵コナン】 (ページ39)

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貨物車が爆発した後、しばらくして列車が止まった。

深く帽子を被り、気絶したAを抱えたまま列車を降りる。

「ゴメンな…」

腕の中で眠るAにそう呟き、その場を後にしようとした瞬間。

目の前に、少年が立った。

「安室さん。Aちゃんをどこへ連れていく気なの？」

コナン君…か

彼の表情から察するに、既に自分の正体は…

「どこへって……もう知っているんだろう？僕の正体に。だったら、予想はつくよね？」

「ボクは許さないよ。彼女を連れて行くなんて」

「この子はこちら側の人間だ。なぜ君に」

「なんでこんなことするの？まだ子供のAに、組織のことをさせてるなんて可笑しい！分かんねぇのかよ！」

その言葉に、内心で拳を握りしめる。

そんな事とっくに分かっているさ。Aに黒は似合わない…俺とつるむべきじゃない。

だがAにとっては、組織はもはや家同然。悲しいが、彼女は何も自分が悪い事をしているとは微塵も思っていないんだ。

この生活が、当たり前だと思って育ってきたのだから。

そこで、俺はひとつの可能性を思いつく。

「……いいよ。彼女は君に渡す」

「えっ…」

「僕がここで連れて帰るよりも、Aがこの列車に一緒に来た、君たちと帰った方が自然だろう？」

そう言って、ゆっくりAを下ろす。

Aより少し背の高いコナン君なら、皆の元へ連れて行ける……体重も並より軽いしな。

それに…

「今は、僕たちのことを信じられないでしょうから」

そう言って彼に背を向けた。

「あ…おい、待て＿＿」

「あー！コナン君いた！」

「Aちゃんもいるー！」

後ろで子供たちの声が聞こえる。

これでコナン君は、追いかけて来ないだろう。

俺は、ひとつの可能性にかけた。

Aがこのまま、組織と関わらず普通に暮らしていけるのなら。

これで良い。

ベルモットの姿を探し、シェリーの件を報告しながらそう思った。

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