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しばらくぼーっとしていると、欠伸が零れる。そろそろ寝ようかなと思っていると居間の方から足音が聞こえた。
音は微小だが、こんだけ静かだったら普通に聞き取れる。音的に派手野郎か。
「おー?まだ起きてたのかぁ」
『うげえ、めんどいの来た』
予想は見事にビンゴ。
ゆっくり目を向けると、頬をほんのり赤くした巨人が大きな欠伸をしながら覚束無い足で歩いてきていた。この屋敷壊れるんじゃね?
『酔っ払いフラフラしすぎだよ』
「酔ってねー酔ってねー」
『そういう奴が1番酔ってんだっつの!』
と、何を思ったか私の隣に腰を下ろした派手野郎。うわっ酒くさ!!つーか寝ろよ!
そいつは半月を焦点の合わない瞳で見つめている。完全に出来上がってますね……!
『どうしたんですか』
「おっ前さぁ」
『うん』
「今まで何してたんだよぉ」
『……それ聞くのほんと懲りないな?んー、宇髄天元サンって酔ったら記憶なくなるタイプ?』
「さぁーなー」って言いつつ、ときおりヒクッと痙攣して見せる。どっちだよ。
いつもならテキトーにはぐらかすのだけれど、今日は何かが違った。
こいつが酔っ払って記憶がなくなるタイプだと勝手に思ったのか、それとも全く違う別の何かがあったのか。
核心には触れてないけど、答えていた。
『……ものすっごくタチの悪い何でも屋みたいな感じ。本当に何でもする。汚いことでも、なんでも』
「……。ふーん」
やっべ、少し言い過ぎたかなと思いつつも、誰かにこんなこと話すのなんか初めてでよく分からない。
心の奥底に抱え込んでいたのをちょっとでもぶちまけたからか、気付いたらまた口を開いていた。
『私にこっちの世界は眩しすぎるんだよ』
「あーそりゃあ俺も思ったことあるぜ」
『へー。それは意外。……みんな優しすぎるんだよ。宇髄天元サンも含めて』
ま、裏の世界に縁もゆかりも無いだろう派手野郎に、私が眩しいって思ってる意味が完全に理解されるとか思ってない。それは求めてもない。
今はただ、聞いてもらうだけでよかった。
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リリー - 善逸と面識あるって分かったとき「いやぁぁぁぁあ!!!!善逸ぅぅぅぅぅぅ!!!!(歓喜の叫び)」ってなった。 (2021年6月3日 5時) (レス) id: 6d42949a76 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - すずなさん» 返信遅くなって申し訳ありません!まさにそれです!!語彙力皆無なのに分かっていただけて嬉しい.........!感激です!!更新頻度とてつもなく遅いですがどうかこれからもお付き合いしていただけるとうれしいです! (2021年1月1日 11時) (レス) id: 0005ea8ca7 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 面白いです!あと岩の訓練のやつってハンターハンターですか?グリードアイランド編の! (2020年5月23日 9時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - ばーどさん» コメントありがとうございます!えっっめっちゃ嬉しいです!!私が悪いんですけど不定期更新のことをポジティブ的に言っていただいて本当に嬉しいです笑不定期ではありますが頑張ります! (2020年4月15日 17時) (レス) id: 0005ea8ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ばーど - このお話大好きです!不定期更新でもいつ更新されるかわからないドキドキ感があるので焦らず更新頑張ってください! (2020年4月12日 22時) (レス) id: 12bcc99cbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬 | 作成日時:2020年1月7日 15時