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嘘五十と九つ ページ9

「これくらいの出費、当然さ」

「でも三万円って言えば百日分の食費ですよ!」

「ほれ」

太宰ら全身を映し出すことができる鏡を真依に向けた。

可愛らしい半袖ワンピースが明るくなった髪色にマッチしている。

リボンがアクセントのミュールは悩んだだけあって見ているだけで幸せになれる。

「えへへ・・・」

ふと見惚れた自分に気がつき、真依はハッとした。

「だ、騙されませんよ!
飛んでいったお金は返ってきません!」

「思い切りにやけてたじゃないか、キミ」

「に、にやけてません!」

抵抗してみたものの、やはり可愛いは正義だ。

つい頰が緩んでしまう。

しかし自分で満足していても、他人の評価は分からない。

どうせ豚に真珠とか言われるんだろうけど、微かな希望を胸に上目遣いで尋ねてみる。

「あの・・・太宰さん、国木田さん。
私・・・どうですか?」

「似合ってる、最高だ。
美しすぎて、まともに見れそうにない」

「へっ!?」

太宰が真顔で言う。

「本当さ。
キミがこんなに綺麗になるとは思っていなかった。
このまま何処かへ連れ去りたい気分だ」

全身の血が逆流し、脳天へと駆け上る。

あまりの絶賛ぶりに真依は目眩がした。

「あああ、あの!
絶対貶されると思っていたんですが、まま、まさかそんなに褒めてもらえるなんて・・・」

「くくっ、くくくっ!」

あっ・・・。

太宰が笑いを噛み殺しているのを見て、真依は血の気が引いていった。

「ひーっ、おかしい!
ねぇ、国木田くん!
この娘まともに受け取ってるよ!
こんなちんちくりんが髪と服を変えたくらいじゃ、せいぜい何とか見られるようになったくらいだっていうのに!」

「死んで詫びろ」

いつの間にやら国木田の手にあったスタンガン。

それがバチバチッと電気音を立てた。

太宰が床に崩れ落ちる。

真依は太宰を人差し指で突っついてみたが、床に伏せてピクピク僅かに動くだけだった。

「ちょっとやりすぎでは・・・」

「これぐらいでちょうどいい」

まあスタンガンならきっと後遺症は残らないし、どうせすぐに回復するだろうから・・・放置決定、かな。

少し言葉は悪いけど、ちょっとだけ『ざまあみろ』だ。

太宰に聞いたのが馬鹿だったのだ。

最初から国木田の意見を聞くべきだった。

気を取直し、真依はスカートを持ち上げて尋ねた。

「国木田さんはどう思いますか?」

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作者名:アオ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 23時

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