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嘘九十と七つ ページ47

叫ばずにはいられないだけのものが写真には写っていた。

気になったのか、グラスとワインボトルを置いて来栖が戻ってくる。

そしてその写真を見て、声を失った。

「なっ・・・」

車の運転席には来栖が、助手席には未玖が並んで写っている。

二人が少なくともただの『副社長』と『派遣社員』の関係ではないことを示す、決定的な証拠だ。

「二人とも深刻そうな顔をして・・・おやおや、随分とただれた関係のようだ」

「こんなのデタラメだ!」

来栖が唾を飛ばす勢いで叫ぶ。

真依は真っ向から来栖に言った。

「でもこうやって写ってるじゃないですか!」

「こんなもの、パソコンを使えば簡単に作れる!」

「えっ?そうなんですか?」

パソコン・・・?

ねつ造・・・?

キーワードが重なり、真依の中で一つになる。

そういえば朝、太宰から国木田に未玖の写真を送れと言われていた。

きっと、それを使って国木田が合成写真を作り上げたのだ。

「何だ、お前?
いきなり黙りやがって」

来栖が睨みつけてきたため、真依は手を突き出した。

「いえ、何でもありません!
気にしないでください!」

それでも来栖の疑いの視線は消えない。

真依は生きた心地がしなかった。

ねつ造写真で犯人を追い詰めるなんて・・・なんて危険なことをするのだろうか。

ドラマの悪徳刑事も真っ青だ。

嘘とバレてしまったら、こっちが罰せられるのではないだろうか?

でも効力は否定できなかった。

来栖と今はまともに会話ができている。

それだけで大きな進歩だ。

けれど、真依は複雑な気分になった。

ねつ造とはいえ、この写真は真実を語っているのではないだろうか?

そう考えると、写真はねつ造とはいえ正しい。

正しいけれどもねつ造。

何が正しくて何が間違っているのか。

ぐるぐると思考が回転し、真依は混乱した。

「証拠のねつ造とはやってくれるじゃねぇか。
まあ知恵の足りない探偵のやりそうなことではあるが」

「事実だけ語ろうか。
この場に刑事がいる。
そこにキミと失踪した少女が一緒にいる写真が出てきた。
さてどうなる?」

「・・・ちっ、ねつ造はねつ造だ。
そんなの今の技術ならすぐにわかる」

「キミがそう取るならそれでいい。
私は私でこれを刑事に渡しておこう」

太宰はねつ造写真を国木田に手渡した。

「これでキミへの疑いはもっと濃くなった。
どうだい?
そろそろ喋った方がいいんじゃないかい?」

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作者名:アオ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 23時

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