嘘八十と四つ ページ34
国木田は独り言のようにつぶやいた。
「俺は最近、�狃�王�瓩搬膾砲脇韻固塾呂鮖�っているのではないかと思い始めている。
二人は目指す方向が違うだけだり
�狃�王�瓩榔海砲茲辰匿瓦侶箚屬鯔笋瓠�犯罪へと導く。
大宰もまた嘘によって心の隙間を埋めるが、その結果騙した相手を救済しようとする。
正直、因縁めいたものを感じる」
嘘による救い。
そんなものはないと思って生きてきた。
もしあったとしても、所詮は嘘で、よくないことだと信じてきた。
なのにどうしてこんなに優しさを感じるのだろうか。
「嘘、嘘、ホント、嘘ばっかり・・・」
呟きは声にならず虚空に消えていく。
真依は大宰が消えていった方向をただじっと見つめた。
夏場は観光客で賑わいを見せる残暑地。
その国道沿いにアメリカ風のバーがある。
そんなバーのオープンテラスに一人の男がいた。
彼は湖畔に映る月が風に吹かれて揺らめく姿をぼんやりと眺めていた。
店先にある駐車場に車が止まる。
降りて来た女を見て、男はグラスを置いた。
「待たせてしまってごめんなさい」
「いや、謝るのはこちらの方だ。
まさか来てくれるとは思っていなかった。
呼び出してすまない」
「大事な話なのでしょう？
そういう時は直接顔を見てお話ししないと」
「ありがとう、香奈美」
「どういたしまして、来栖さん」
来栖は香奈美に気を使い、すかさずノンアルコールカクテルを頼んだ。
風が吹く。
香奈美は長い髪を押さえた。
「こっちは風が強いのね」
「昨日は雨が降っていた。
今日はこのざまだ。
まったく俺の心を表しているようだ」
ぐっと来栖がウィスキーをあおる。
その姿を香奈美はじっと見つめていた。
「警察が来たのね」
「相変わらず察しがいいな」
「だって来栖さんは大事な友達だもの。
顔を見るだけで見当はつくわ」
来栖は香奈美がそこにいるだけで安堵を覚えた。
男と女。
だがこの感情は愛や恋ではない。
一番近いのは、友情と言うべきものだろうか。
来栖の人生で、親友と言うべき人物がいたことはなかった。
にも関わらず親友と思える初めての人物が女であったことに、来栖は自嘲しつつ満足感を覚えていた。
「警察が来たのは昨日だ。
まだ証拠を掴んではいないようだが、やつらが俺のところにたどり着くのは時間の問題だろう」
来栖はウィスキーを飲もうとしてグラスを地面に落とした。
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作者名：アオ x他1人 | 作成日時：2018年3月6日 23時
