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嘘八十と一つ ページ31

「その女が嘘ばかりつくからだ」

「だから市野江さんを責めるのはやめてください!」

真依には慈恵の痛みが手に取るように理解できた。

裏切りという名の棘が慈恵の心を突き刺している。

それを成し遂げているのは大宰と国木田の連携だ。

二人は敵味方と分かれること以外、話し合いをしていなかった。

つまりアドリブでこうして慈恵を追い詰めている。

やはり二人は仲がいいのではないだろうか。

「お前は電車通勤をしているな。
だから地下駐車場なんて用がないと行かないはずだ」

「だから市野江さんは地下駐車場に行っていないと・・・」

「そうなると、車はお前以外の誰かのものと考えられる。
一番可能性が高そうなのは副社長の葉摘 来栖か?」

「知りません!
本当に知らないんです!」

あくまで来栖の名を出したのは鎌かけだったはずだ。

しかし成果は目に見える形で現れた。

慈恵の手が、ネックレスにある。

しかも強く握っている。

今までで一番のストレス反応だ。

ビンゴ、と言わんばかりに大宰がトンッと机を人差し指で叩く。

それを視認した国木田が来栖関係を重点的に攻める。

「葉摘 来栖が奥苑 未玖を誘拐した。
お前はその共犯者として奥苑 未玖を誘い出し、葉摘 来栖の車で運んだ。
そういうことか?」

この際、来栖関係の推論であれば何でもいいのだろう。

問題はレーダーにどれだけ引っかかるか、だ。

「そんなことありえません!
なぜそんなことをしなきゃいけないんですか!」

「お前には借金があるな。
社長が病気治療の現在、実権を握っている葉摘 来栖に脅されればやらざるを得ないだろう」

「副社長はそんなことをする人ではありません!」

大宰がまた机を人差し指で叩く。

ということは・・・裏にいるのは葉摘 来栖で決定だ。

「もうわかっている。
嘘をつくのはやめろ。
全てを話せ」

「嘘と断定するのはやめてください!
市野江さんは知らないと言っているじゃないですか!」

「奥苑 未玖を誘拐した理由は何だ?
知られてはならないことでも知られたのか?」

「違いますよね?
誘拐なんかに関わってないですよね?
正直に言えば大丈夫ですよ」

「あっ、いえ、あの・・・」

「誘拐以外で奥苑 未玖が行方不明になる理由などどこにある。
言えるものなら言ってみろ」

「会社が嫌で逃げ出しただけなんじゃないですか?
そうですよね?」

嘘八十と二つ→←嘘八十つ



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作者名:アオ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 23時

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