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嘘五十と一つ ページ1

「因みに分かっていると思うが、今のは嘘だぞ」

「で、ですよねーっ!
分かってましたよ!」

脳内妄想がバレないよう、懸命に取り繕う。

「キミの顔はコロコロ変わって面白いな」

「えっ!?
顔にでてました!?」

「深刻そうな顔をしていたから、きっと弟のブリーフで嫌な思い出でもあったのかと」

セーフッ!

国木田さんが微妙にズレている人で助かった!

「あはは、そうなんですよ!
ちょっと嫌な思い出がありまして!」

「やっぱりそうか」

「・・・国木田くんがアホでよかったね」

太宰がニタニタと笑っている。

真依は穴があったら入りたい気持ちになった。

ああ、この人は全部見破っている。

洞察力が凄いのは分かったらけれど、こんな部分で発揮しなくてもいいのに・・・性質の悪い人だ。

「太宰、気になったのは波積 来栖だけか?」

国木田は水に口をつけ、中指で眼鏡の位置を直した。

「言葉が少なかったから確信は持てないが、すぐ側にいた女性にもチェックを入れておいた方がいい。
嘘憑きは友を呼ぶ。
側にいた女性の名前は?」

「市野江 慈恵だ。
そういうことなら俺からも調べておこう」

「あの〜、ちょっと聞きたいんですけど」

真依はそろりと手を上げた。

「何だい?雑巾」

「だからさらりと雑巾呼ばわりしないでください!
・・・って、もう今回だけはいいですっ。
あの、さっきから何度も『嘘憑き』って言葉が会話に出てきますけど、普通に使う『嘘つき』とは違う意味で使ってますよね?
どういう意味なんですか?」

「キミは以前聞いていたよね?
『嘘憑き事件』とは何か、と」

太宰の言葉ではとっさに思い浮かばず、真依は額に中指を当てて記憶を呼び起こした。

「あっ・・・!」

脳の片隅に追いやられていた箱が数秒遅れで開く。

「太宰さんが依頼を受ける条件に挙げていた、あれですね?」

「そう。
『嘘憑き事件』の『嘘憑き』というのは、嘘に憑かれていると書く。
悪霊に憑かれる、という時に使う『憑く』だ」

「嘘に憑かれる・・・?」

「ここ一年ほどの間に、取り憑かれたかのように嘘をつく犯罪者が複数発生した。
やつらはとにかく異常とも言えるほど嘘をつき、捜査を撹乱。
解決は困難を極めた。
そこで警察は一連の事件を『嘘憑き事件』と名付けた。
そして今回の失踪事件、太宰が反応したということは、『嘘憑き事件』の可能性がある」

嘘五十と二つ→



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作者名:アオ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 23時

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