私のジミン先生。 (ページ17)

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「ねえ、この会社ってあの有名なビック・ヒット？」

「･･･そうだけど」

「Aちゃんは何してる人？」

「･･･ちゃん付け」

「Aヌナのほうがよかった？」

「だからそういうことじゃなくて、」

「ねえ。何してる人？」

自覚しよう。

完璧に彼のペースだ。

「･･･デザイン」

「デザイン？」

私が勤めているビック・ヒットという会社は
一般でいうブランドを手掛ける大手企業。

私は主にアクセサリー関係のデザインを仕事としている。

それを伝えると、キム・テヒョンの表情は
見たこともないほど、パァっと輝いた。

「俺！俺ね！ビック・ヒットのアクセサリーの大ファンなんだ！」

「え、･･･そうなの？」

「うん！見て！これ！このピアス！」

「あ、･･･それ･･･」

「俺の一番のお気に入り！」

いひひ、なんて無邪気に笑顔を振り撒いて。

本当に彼は、

あのキム・テヒョン？

「･･･それ」

「これ？」

「そのピアス、私が初めてデザインした物なの」

あまり売れ行きが良くなく、
すぐに廃盤になってしまったけれど。

呟くと、
キム・テヒョンは思い切り立ち上がった。

「違うよ！」

「え？」

「このピアスが発売されたとき、いつもみたいに全面的なアピールしなかったじゃん！」

「それは、そうだけど･･･」

「ファンの間でもあまり知られてなかった！」

たまたま見かけ、
一目惚れしたらしく。

俺が知らないって相当だよ！
なんて声を張り上げた。

そうしてポン、と。
本日二度目の頭を撫でられる行為。

「だから、絶対、Aちゃんのせいじゃないよ」

それも、最低最悪だと思っていた相手に。

ふと見上げると、
彼の笑顔はジミン先生へと向けられるそれとよく似ていた。