転校してきたのは人懐っこい赤髪の男の子でした。【あほの坂田。】

29.けんかっぷる ページ30

坂田くんと約束した"今週末"になった。

後々分かった。

世間ではこれをデートという。


そんな事を意識し始めた瞬間、まだ会ってすらないのに、カァァと、顔が真っ赤になった。

どんなことを話そう。そんならしくないことを考え、坂田くんが来るまでの時間を過ごしていた。


ーピンポーン♪


家の中に響くインターホンの音。

私は急いでドアを開ける。


ーガチャ


「お邪魔しまーす！」

「えと、いらっしゃい。」


家に誰かを呼ぶなんていつぶりだろうか。
坂田くんの私服がセンスありすぎる。

そんなつまらない事を考えながら、先に自分の部屋に上がらせた。


ーガチャ


「坂田くん、お茶...

「なぁ。...これなに？」


坂田くんが持っているのは黒い手紙。
あれから毎日入っているが、特に気にしてはいない。

...片付けてなかった。


「...なにって言っとんの。」


坂田くんはいつもより低い声で話す。
これは、彼が怒っている証拠なんだろう。

正直、今の私は、苦しいから助けて、と言うよりも、坂田くんに迷惑かけたくないという気持ちの方が大きかった。


「......手紙。」

「黒い手紙で送るやつなんかおる？中身確認していい？一応中身は見ない方がええかな思って中、見てないねん。」


「...ダメ。」


ただでさえすでに迷惑かけているのに。
これ以上関わらせるわけにはいかない。

そう思って坂田くんから奪い取ろうとした。


が。


自分より背が低い人から約1週間分の手紙を守るなんて簡単で。


あっという間に開けられてしまった。


「なんや、これ！」

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