転校してきたのは人懐っこい赤髪の男の子でした。【あほの坂田。】

26.あほ ページ27

「.........あほ。」




坂田くんの口から出たのはそれだけだった。

私は涙をゴシゴシと強引に拭き、教室に戻った。


否、戻ろうとした。


ーギュッ

「...どあほ。...そんなん聞いて、離すわけないやん。」


坂田くんは、今日2度目のハグをした。


「......っ//」


「俺からも言わせて？俺も...虐待児やった。」


「......へ？」


信じられない、あんな元気な人が。


「だから俺は周りがいないとダメやったんや。

味方は誰もいないなんて事分かっとる。でも、頼らんと、俺が崩れるから。」


坂田くんは下唇を噛む。


「だから！いつも1人で強いAちゃんに、惹かれてった。」

「ほん、と？」

「ほんま。」

「私のこと、好きでいてくれる？」

「当たり前やん。だから......付き合って？」

「.........はい。」




顔を見合わせて、笑いあった。


「...あほ。」

「Aちゃんも大差ないやろ。(笑)」

「言ったね？(笑)」




坂田くんは、人懐っこい赤髪の男の子です。

ーこの瞬間は、イジメの事なんか忘れられた。

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