私はアンタに牛乳パンを投げつけた。【及川徹】

. ページ5

*





月曜日だ。

もう、断られること分かってるから。

一緒に帰ろって誘わない。

あれからあんまり話してない。

話しかけても、また遮られたり

断られる気がして。







「今日は放課後委員会活動があります。」







うわ、帰るのが遅くなる。

遅くなると言ってもだいたい20分程度。

だけど部活が休みの日は、少しでも時間を

無駄にしたくない。







授業をテキトーに受けて、

10分休みは少し寝て、

やっとご飯を食べれる時間になった。

最近は花巻くんと食べている。

いつもの空き室に行って

花巻くんを待つ。





「よぉ、及川Aちゃん。」




「やめてよ。花巻くん。」




「キャー怖いAさん。」






すこし強めにそう言うと、

からかい混じりに花巻くんは

女の子のような声を出す。

この時だけ、私は素の私になれる。

花巻くんは、私と話して楽しいのだろうか。






ご飯の時間が終わり、

５６時限目も終わったら、

委員会活動が始まる。

保健委員会は、今回特に何もすることがないが

委員長のため、少しだけ大変である。








委員会活動が終わった。

委員長は、残って仕事をするから

皆より遅く帰る。

誰もいない、1人だ。








及川、いるはずがないよね。

少しくらい誘ってこない私をおかしく思って、

待っててくれる、なんてことしてくれてもいいのに

馬鹿みたい。上靴を履き替えて、外に出る。







「おー、また一人ですか。」






あれ？花巻くん？

横から花巻くんの声が聞こえたから

顔を向けると、そこには大正解。花巻くんがいた。





「な、なんでいるの？」





「ひっでえ。待っててやったんだから
感謝しろよ。」





「.....ありがとう。」






私は少し、嬉しかった。

まるで及川と初めて手を繋いだ時のように、

及川と初めて間接キスした時のように、

及川と初めて2人で帰った時のように、








あれ、今は？





花巻くんが、あの時の及川みたいに。





どうしてなのかな。





*

.→←花巻くんの好き。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す