一軍ヤンキーと陰キャちゃん その6

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それはまるで交通事故みたいで、その勢いで壊れたのかグラグラとドアが呆気なく開く。
突き破った男を足で避けながら入ってきたのは深澤くんと岩本くんで、それを見るなり男は意気揚々と離れた。一気に流れ込んできた酸素を吸い込むことに必死で、起こした上半身はやけに重い。


『やっと来た〜 笑』


…なんで、来てくれたんだろう。嫌われていたんじゃないの？そんな相手の所になんで？
怒号と生々しい音が飛び交う中で次から次へと疑問が脳から零れ落ちて行って、まだ意識は鮮明ではないながらも2人が喧嘩しているのが見える。
連中はあっという間に一掃されて、ヘラヘラと笑っていた男だけになった。


『あれ？深澤くん喧嘩してたんじゃなかったの？笑』


深澤くんは何も言わずに拳を振り上げることもせず、一瞬で胸ぐらを片手で掴んで壁に押し付けた。壁に穴空いたんじゃ…？と思うほどの勢いと音に思わず身体がビクつく。
同時に岩本くんが駆け寄ってきて、しゃがんでくれた。


岩「A、」
「……ぁ、」
岩「遅くなってごめんな。もう大丈夫だよ」


嗚呼間違いなく、岩本くんの声だ。
目の前で微笑んでるこの人は紛れもなく、心から大好きだと思う"友達"だ。深澤くんに朝電話を貰った時と同じ。嫌われていようが避けられていようが、そんなこともうどうでもよかった。
彼の目がこちらを向いて、言葉を投げかけてくれてる。それだけでもう十分すぎる。



阿「Aちゃん！？」
佐「いた！無事！？怪我は！？」



目を合わせることすら避けていた7人が入って来て、呆気に取られたような気持ちになった。
嫌われてると思っていた人達がここまで助けに来てくれて、言葉を交わしてくれてる。色んな疑問が溢れるせいで涙も引っ込んだ。


『っ、思ってたより普通な女でびっくりしたわ、笑』


壁に押し付けられて首が締まっている状態でも尚も虚勢を張ってくる男に深澤くんは冷たい視線を向けるとさらに腕を上げる。軽く浮いているレベルで、あの細身のどこにそんな力があるんだろうか。
近くに倒れていた同じ制服の男子生徒がヨロヨロと立ち上がる。


『俺ら元から関係なかったですみたいな顔してたけどさぁ、無駄だからあんなの 笑』
『…そもそも仲悪いフリとか頭悪くね、？しかも無駄になってるし、笑』

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