一軍ヤンキーと陰キャちゃん その4

風邪ひきさん ページ47

(Thanks！そねはら様！)

「…阿部くん、？」
阿「…あ、Aちゃんごめん、」
「全然…、大丈夫？」

例によって保健室にほけんだよりを取りに行ったら今日も先生は居なくて、ソファには阿部くんが座っていた。手足に力が入っていない状態でだらんとしていて首も下がっていて顔も見えないから最初寝てるのかと思った。トントンとしたら力なく笑ってごめんごめんと立ち上がった阿部くんはそのままソファにまた倒れた。

やっとの思いでベッドまで運んで、タオルを額に当てた所で目を開けた。

阿「…あんま覚えてないんだけど…、俺もしかして倒れた、？」
「倒れたっていうか最初ソファに居て、立ち上がったらまたバタって、」
阿「うわ、そっか、笑
ごめんね、運んでくれたの？」

高身長の人達ばかりが周りにいるからわかりにくいけど、9人の中では180越えの人達を除けば次に背が高いのは阿部くんなのだ。線が細く見えるけどなんだかんだ男の子で、流石に女子一人の力ではフラフラした。

「…うん、ごめんスムーズには出来なかったけど、」
阿「ははっ、笑
むしろごめんね？」
「とりあえずこれ熱測って？あと今新しいタオル持ってくるから」

体温計と濡れたタオルを交換して、新しいタオルを持ってベッド横まで戻ると阿部くんは起き上がって測っていた。椅子に座った所で体温計が鳴る。

「何℃？」
阿「…そんなないよ」
「嘘だ」
阿「ほんと」
「…、」

ずいっと手を差し出して無言の圧。体温計を見せまいとする阿部くんは渋々渡してくれた。いやそもそも私がケース持ってるので否応なしに見せることになるんですけどね。

「…え！38.7！？」
阿「そんな大変じゃないよ、だいじょぶ、」
「大変なことですっ！！も、もしかして朝から、？」

今朝深澤くんと佐久間くんと一緒に居た阿部くんを思い出してみたけど別にいつもと同じように見えた。

阿「朝はちょっと頭痛いくらいだったんだけどね…、」
「…ごめんなさい…気付けなくて、」
阿「Aちゃんが謝ることじゃないよ 笑」

いつもと同じ優しい笑顔だけどどこか力無くて顔も紅い。知らなかった、倒れるくらいまで誰にも言わないなんて。

阿「生徒会室では大丈夫だったんだけどなぁ…ここで力尽きた、笑」
「…と、とりあえず寝てて、今薬持ってくる、」

保健室には薬がないので自分の持ってる頭痛薬しかない。確か解熱の効果もあるはずだから…それで…、
階段を駆け上がりながら、なんか私階段よく走ってるなぁなんて考えてた。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す