一軍ヤンキーと陰キャちゃん その4

イメチェンしてみることにした ページ37

(Thanks！むむ様！)


Shota side






いつもの昼休みでいつもの音楽準備室。いつもと何も変わらないその日、Aが緊張したような顔でいきなり立ち上がるから思わずビクついた。

渡「どうした？」
「…ぁ、あの、み、皆さんにお願いが、ありまして…」
深「なぁに？どしたの？」
「……お、おぉおお化粧教えてくれませんかっ、」

……一旦みんながフリーズした。Aはというと顔を真っ赤にしてなんか気合いは入ってるみたいだけど、誰とも視線が合わないように目は下の方を見てる。ぎゅうっと握りしめた手が小刻みにプルプルと震えていて、こんな時にも可愛いとか思う俺は相当重症だなとちょっと笑えた。

佐「んは、Aちゃん顔真っ赤っか 笑」
宮「どうしたの？そんな急に」
「……そ、その、自信が欲しい…から、」

肩まで力が入っていたのに急にしぼんでいく身体と裏腹に、言葉はわりとハッキリ聞こえた。
いつも自分に自信がなくておどおどしている彼女だけど、最近は前より沢山言葉にしてくれるようになった。そして、強くなったと思う。俺らが大切だと思ってるのと同じくらい彼女もそう思ってくれてるだろうし、そんな感情を出してくれるようにもなった。

そんな彼女からの提案は、ある意味ぽかんとさせるものでもあった。

阿「…自信付けたいの？笑」
「み、みんなと居て、…恥ずかしくない人になりたい、ので…、」

…あーあ。もうそんなの、完全にやられたわ。
毎回毎回、自分の言葉がどんだけ俺らの心臓鷲掴みにしてるかわかってんのかなコイツ。俺らが男じゃなくても、多分今のは誰だってクる。Aは気付いてないだろうけどみんなにやけてるの隠そうと必死だし。いや隠れてねぇけどほとんど。


目「今のままでも充分ですけどね」
「そんな事ない、から、頑張りたい…、」

めめの言葉に間髪入れず返した言葉は尻すぼみになっていく。そんなとこだけすぐ返すなよはえーな。

岩「俺も今のままでいいと思うけど、Aがやる気なら手伝うよ」
ラ「俺も！女の子の流行とかは自信ないけど、笑」
向「俺ら男やからなぁ、期待はせんといてな、笑」

どもりながらよろしくお願いしますとわたわた頭を下げたAからの、直々のお願い。…とはいえ正直、髪を切っただけであんだけ可愛くなるんだからちょっと心配。なんて、柄でもないし絶対馬鹿にされそうだから言わねぇけど。

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