一軍ヤンキーと陰キャちゃん その2

ソフトクリーム ページ15

(※海編です！今回は構成の都合上9人全員泳げる設定になっています。実在の人物との関係はありませんのであしからず…)
(※特別ゲストも出るよ！←)



『ちょ、なに、可愛い水着！』
「あ…うん、今日みんなで海で…」
『きゃはー！あのイケメン！？やだ〜！いいなぁママも行きたかったな〜』
「…いやいやいや…」
『気をつけてね！』


母はこういう人だったりする。
私のこの暗さは一体どういう遺伝なのかと思うほど、母は明るくて美人で、そして面食いなのだ。父は確かにイケメンなのでなるほど納得である。先日従兄弟がいる時に送り届けてもらって9人と初対面した母の興奮たるや。
『あんたもやるね、私でも学生の時あそこまでモテなかったわ。また連れてきて！』となんか楽しそうだった。
いや別にモテてるとかそういうんではないんだが…と言っても母の耳には入っていない。





今どきの海水浴場を知らないので着替えがよくわからない。そういう場所がないと大変なので、水着を着た状態でそこからさっと脱ぎ着できるものを上から着て家を出た。
最初は駅集合とも話したけど海の近くにに住んでる人もいるそうなので、とりあえず近くの公園で待ち合わせることになってる。




駅を出て数分歩くと海が見えてきた。
……あ、あそこに行くのか…今から…パリピという軍団がお酒片手に騒いでいるであろうあの海に…
今更になって、下界に住むカースト枠外の人間であることの実感が湧いてきて足が重くなる。場違いも甚だしいんじゃないのか…私が夏休みに海なんて…こ、こわい……








『ありがとうございましたー！』


1人で悶々と考え込んでいた耳に飛び込んできた女の人の声で、ハッと我に返った。いつの間にか小さなカフェの目の前にいたらしい。メニューボードの黒板にはソフトクリームの絵が描いてあって、出てきた人が何人もソフトクリームを手に幸せそうな笑顔を見せている。…美味しそうだな…まだ待ち合わせには時間もあるし、朝も少ししか食べてないし。



海水浴場の近くのオシャレなカフェのソフトクリームを1人で食べる、なんてこんなイケイケなことやってしまっていいのかっ…！(いやそもそもカフェでソフトクリームがイケイケかどうか定かではない)
とか思いながらもやっぱり食欲には勝てなかった。値段の割にかなり背が高いミルクのソフトクリームで、思わずんふ、と声が漏れた。真っ白で美味しそう…、

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