一軍ヤンキーと陰キャちゃん その2

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そして、今に至る。


『彼女さんへのプレゼントか何かですか〜？』
『こちらのデザインは今年のトレンドで〜、』


このセリフは、買いに来た私へのセリフではない。一緒に来てくれた2人へのセリフである。




以前宮舘くんとワンピースを見に来たショッピングモールには、水着の専門店があった。専門店なんてあるのか…、

そもそもレディースの水着なんて男性がいたら気まずくなるのでは…？という外野向けの気持ちと、私が選ぶ水着がダサいとかだったらどうしよう、という心配とが入り交じって、やっぱりここから出て待っていてもらおうと振り向いた所にこの声が聞こえた。
離れたの一瞬なのに、店員さんに声かけられるの早っ…！



渡辺くんはキョロキョロと水着を色々見ている時に声をかけられていて、目黒くんは適当に水着を見ていた所で声をかけられている。



まぁ、やっぱりそうだよね……、
見るからにこう、あの2人の方が彼女とかの水着を買いに来た、みたいな感じするもんね…ん？そもそも彼女の水着って買いに行くんだろうか…
陰キャとしてはやっぱり…この場所に不似合いだもんなぁ…、
1人で葛藤しながら水着を見ていたら、目黒くんに話しかけていた店員さんがレジの方に駆けてきた。…店員さんあの二人しかいないんだな…




「…あ、あの、すいません、この水着…サイズ、って、」



そこまで言った時点でこちらを見る店員さんの表情が明らかに怪訝そうで、場違いな私への嫌悪感がひしひしと伝わってきた。上から下までジロっと視線が動く。
…いや、そうですよね…わかってます…、
陰キャが来るところではないんですよ…それはその…承知の上で…、



でも、みんなが『海へ行こう』って言ってくれたのだ。『水着を買いに行こう』って。そう言ってくれたみんなの言葉を大事にしたい。卑屈になるんじゃなくて、ちゃんと受け取って。
…自分でもこんなに心境の変化があることに、心底驚いた。

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