一軍ヤンキーと陰キャちゃん その2

水着 ページ11

事の発端は、今日のお昼休みの話。


向「やっと夏休みかぁ〜！」
岩「佐久間お前補習は？」
佐「ギリッギリでセーフ！！阿部ちゃんのおかげ〜！」
阿「めめもね、笑」
目「俺マジで危なかった、ありがとね阿部ちゃん」
深「まぁ俺らいつも危ないけど 笑」


精神的に長すぎるテスト期間も終わり、あとは来たる夏休みを待つだけである。テスト前に阿部くんが有能すぎる勉強会をしてくれたおかげでみんな夏休みの補習を免れた(ちなみに私もひっそりギリギリだったことは内緒)。みんなはそれぞれの予定を話していて、私の方は今年も暑くなりそうだなぁなんてぼんやり考えていた。いや既に暑いのだけど。


渡「Aはなんか予定あんの？」
「いや特に…、お盆におばあちゃんのとこ行くくらい、かな…」
岩「じゃあ俺らと海行かない？」
「…う、うみ、！？」

なんと…、"夏休みに海"なんて一軍の人しか口にしてはいけない言葉ではないか…あ、彼らは一軍だからいいのか。

佐「うぉ！海！！めっちゃいいじゃん！！」
「…え、え、あの、う、うぅう海って、あの、あの海…？」
渡「逆にどの海があんだよ 笑」
「砂浜があってパリピがお酒片手に騒いで海の家でナンパされるあの海、？」
向「いやどんなイメージやねん！笑
なんやそのチャラい空気しかない海水浴場、嫌やろ 笑」
宮「もしかしてAちゃん海水浴とか行ったことないの？」
「……海水浴は、あるけど…ちっちゃい時だったから…もう大きくなってからは…ない…」

まぁ、言わずもがな陰キャはそもそも外に出たがりませんので…
海で海水浴なんてもう、一軍リア充のみが許された貴族の嗜みみたいなものだ。


ラ「Aちゃんのイメージ偏りすぎでしょ 笑」
「いやだって…夏休みに海って…、リア充の遊びだよ！」
深「そこだけなんで声でけぇの、笑」
目「行ったことないなら尚更行きましょ、俺らと」

………俺らと。
こんな、イケメンで優しい長身喧嘩強いヤンキーで一軍の方々と…海……


阿「Aちゃん、全部声に出てるよ 笑」
「…ぅえっ、！？えっ、全部、？」
岩「Aの褒め言葉真っ直ぐすぎて恥ずかしいわ 笑」


いや恥ずかしいのはこちらです…しかし今は人生で初の、友達と夏休みに海に行くという状況にテンパっていてそれどころではない。

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