一軍ヤンキーと陰キャちゃん その2

疑惑 ページ1

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いつものお昼休み。いつも通り音楽準備室に集まって、いつもみたいに話してご飯。佐久間くんはテレビデオで古いアニメ観てて(そもそもあれが動くことに驚いてる)、向井くんラウールくん達と何やら楽しそうに話してる。というかよくあったなVHS。どこから持ってきたんだろうか。



渡「A、…おい、A！」
「…ぅわっ、はい、！」


佐久間くん達とは少し離れた所からだけど何気にアニメに見入っていたら後ろから渡辺くんに呼ばれてビクッとした。
振り向くとむすっとした顔で声も低い。…お、怒ってる…？


「…な、なんでしょう…」
渡「お前彼氏いんの？」
「………は？」
『…え、』


どことなく不機嫌な表情と声色から発せられた言葉は予想外すぎて、空気が抜けたみたいな声が出た。周りもなんのこっちゃわからない顔で、先程まであんなに楽しそうだった佐久間くん達ですら一斉に振り返って鋭い眼光で見てくるから流石にちょっとドキドキした。こわい。



「…え、え、あの、え、」
目「は、？ちょ、待ってAちゃん彼氏いんの」
佐「えぇー！まって嘘でしょ！」
ラ「やだ！ねぇなんで！どんな人！？」
深「Aちゃん嘘でしょ！？俺すげぇショックなんだけど！」
岩「てかなんで言わないの？彼氏いるって」
「ちょっ、ちょ、ちょ、待って待って、！」



私の方からはまだ何も言っていないしなんなら声が漏れただけなのに、みんなからの矢継ぎ早な質問に言葉を滑り込ますことも出来ん。



「…か、彼氏ってなに…いないっ、て…」
渡「じゃあこれ誰」


尚も怒ってる、というかこの件で何故か怒ってる人が増えた状況で渡辺くんはスマホをずい、と見せてきた。その画面を見ようとみんなが周りにわっと集まってくる。…暑い。



渡「昨日たまたま駅の方行ったら歩いてたの見たんだけど、2人で」
「…え、あ、！いやこれは違っ、」
佐「うぉおこれは親密だわ！」
ラ「えぇ〜なんかかっこいいじゃんこの人！」
向「いや俺らギリ上やって！ギリ！」
宮「Aちゃんなんで言ってくれなかったの？」
「いや、だから、これは、」
目「はぁー、まじ最悪」
阿「やばい、結構グサッと来てるわ、」
「待ってって、！」


私の話を聞かずにどんどん話し続けるから会話にならないので、思わず声が大きくなった。さすがに普段あまり大声を出さないからみんなも止まる。




「これは…あの、従兄弟、です…」

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