鯨骨生物群集：35 ページ39
ウツは不機嫌だった。トントンとウツの2人だけのリビングには、未だかつてないほどに冷えた空気が漂っている。チーノとしょっぴが生まれた時の空気感とは訳が違う。一歩足を踏み込めばズタズタに切り裂かれてしまうように、鋭く、壊死してしまうように冷たい。
「あ"あー、まじかぁ。立ち入り禁止にしとくべきやったかなぁ。ってか、自由にさせすぎとった⁉︎Aを外に出さんようにしとけば良かったんかなぁ〜、あ"あ"‼︎」
「それはいよいよやばいルートで草なんよなぁ」
「ええ、いずれするつもりやったんやけど」
「それはそう」
ウツは真っ黒な液体の入ったマグカップを口元に運んで、一口啜った。温かいわけもないその液体にふっと軽く息を吹きかけると、ふわっと黒い液体と海水が入り混じって湯気みたいに広がった。ダン、と少し力強めにカップを机に叩き付けると元から劣化していたそれは簡単にひび割れてしまった。
「ってかAの父さんとちゃうしぃ⁉︎何アイツAに父さんなんて呼ばせてんだ羨ましい‼︎」
「それ言ったら母さんもお前の母さんちゃうやん」
「せやねんなぁ…。でも知ったらA、お兄ちゃん♡って呼んでくれんくならへんか⁉︎それは無理や耐えられん」
「俺は本当の母さんなんで、Aのにいちゃんのままでーす。お疲れ様でした」
「トントぉン…」
「ええ、きも」
ウツの髪がふわりと水に揺れた。軽口を叩き合っているはずなのに、どこか、あまりにも2人の瞳が冷めすぎている。
「ってかお前は開幕からAに嘘ついとったやん」
「ええ、なんのこと？」
「しらこいわぁ…。髪の毛食ったんや、なんてよおあんな演技して言えるわ」
「俳優向いとるかもしれんなぁ」
「ってか母さんに一番最初に根っこ張ったの俺やしな？まじロボロの頃から嘘つかせるやん俺に」
「許してトンち♡」
「きっしょ無理」
「しゃーないやん。俺こっちじゃ大して力使えへんし、髪の毛って言っとけば力なくても違和感ないやん？正直ママの髪の毛とか顔の綺麗さとか知らんし。俺がこっちに移った頃にはもう腐ってたって」
「おぉ？母さんディスか？殺すで」
「ちゃいますやん‼︎」
それから、酷く冷めた声色で、ウツは笑った。
「ああ〜、ってかもう良くない⁉︎繕うのきっついわ。なんだろうがもうええやろ」
「まぁ結局皆考えることは同じやしな」
「グルッペンの死体残りすぎ〜！心中してからもう何年よ⁉︎」
「知るわけないやろ」
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雨蛙躑躅(プロフ) - コメント返信のやり方を漸く理解いたしました‼︎返信が遅くなってしまい誠に申し訳ございません🙇♀️コメントをくれた皆様、大好きですぞ〜！！ (4月14日 12時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - 惨事さん» コメントありがとうございます！だんだん全てが覆って、次第に壊れて何もかもが無くなる、かもしれないですね！汚く醜い生態系に存在価値があるのかどうか、雁字搦めになりながら沢山想像して欲しいです！これからも完結目指して頑張ります！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - かぼちゃピースさん» コメントありがとうございます！この深海で紡がれる不安定な生態系にアナタが雁字搦めにされていたら、作者はとても嬉しいです！これからも頑張ります！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - まるちゃん生麺さん» コメントありがとうございます！ちゃんと貴方のしきゅ…お腹から生まれている唯一の、おっと。ここまでにしておきましょう！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - リトマス試験紙さん» ありがとうございます！沢山の方々にお気に入り登録や評価、コメントをもらえて雨蛙は本当に幸せです‼︎コメントが届く度に飛び上がって喜んでます！雨蛙の描く悪夢みたいな世界を楽しんでいただけたら、雨蛙はこれ以上ないほど幸せです！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年2月7日 17時
