鯨骨生物群集：25 ページ27
話に折り合いなど付くはずもなく、会議は激化していった。チーノとしょっぴを何が何でも殺そうと怒り狂っているロボロ、それを止めてはいるものの怒りは隠せていないシャオロン。冷えた目で笑うコネシマ、煽るしょっぴ。不満げに意見するゾム、どっち付かずで迷うエーミール。そして冷えた空気を纏いながらチーノとしょっぴを見下ろすトントン。何かきっかけがあれば即座に殺し合いが始まりそうな雰囲気に、ピリピリとした感覚が頬を走る。
「あー、なんやっけ。チーノにしょっぴ？別にええんやない？殺そうが生かそうが。楽に殺せるはずはあらへんし、なんなら自分が殺されてまう可能性やってある訳やろｫ？それで殺られてるようなら本末転倒やーん。大体、俺らやって別に、Aチャンを取り合うんなら仲間ではないわけやん？じゃあわざわざコイツら殺す必要もないやろ」
酷く静かな空気の中、ウツの声は存外よく響いた。
ウツの言葉に賛同する者がいたかは分からないが、少なくとも場が少し落ち着いたのは事実であった。
７人の感情を激化させているのは、紛れもなく大切なAが取られてしまうという焦りだった。それを自覚してしまえばなんだか酷く冷静になれて、次の言葉が見つからないまま口を閉ざす他なかった。
「お前らもよぉ考えろよ。大切な弟をイジメるにいちゃんを見たらAチャンはどー思う？嫌われたないやろ？じゃあ嫌でも腹括るしかないやん」
それからウツは、部屋の中にいる誰よりも甘い顔をして、それから下衆みたいな声で笑った。艶のある髪に灯りが反射して、地面に紺色の光を落としている。多分、とても美しい光景であったように思う。
「ハハっ、大体さぁ、Aが俺以外何もいらない、俺がいなきゃ生きられないって言うくらいまでぐちゃぐちゃにしてやればよくね？今殺すとかそーじゃないやろｫ｡一旦仲良くするふりして、後で出し抜けばええ。違うか？」
部屋の中は静かだった。ゴボゴボ空気の吐き出される音だけが響いている。誰が言うでもなく、皆は自室へと散り散りになっていった。Aが初めて目の前に現れた時のように、丁寧に自己紹介をしてやる者などいるわけもなかった。去り際、酷く焦燥に駆られているしょっぴの肩にポンと軽く手を置いて、それから耳元で囁くようにウツは言った。
「あんまし調子乗っとると、ここでは生きてけんで♡気ぃつけやぁ、弟君？ﾝふっ」
それは今まで聞いたウツのどんな声よりも、甘く淡白な声だった。
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雨蛙躑躅(プロフ) - コメント返信のやり方を漸く理解いたしました‼︎返信が遅くなってしまい誠に申し訳ございません🙇♀️コメントをくれた皆様、大好きですぞ〜！！ (4月14日 12時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - 惨事さん» コメントありがとうございます！だんだん全てが覆って、次第に壊れて何もかもが無くなる、かもしれないですね！汚く醜い生態系に存在価値があるのかどうか、雁字搦めになりながら沢山想像して欲しいです！これからも完結目指して頑張ります！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - かぼちゃピースさん» コメントありがとうございます！この深海で紡がれる不安定な生態系にアナタが雁字搦めにされていたら、作者はとても嬉しいです！これからも頑張ります！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - まるちゃん生麺さん» コメントありがとうございます！ちゃんと貴方のしきゅ…お腹から生まれている唯一の、おっと。ここまでにしておきましょう！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - リトマス試験紙さん» ありがとうございます！沢山の方々にお気に入り登録や評価、コメントをもらえて雨蛙は本当に幸せです‼︎コメントが届く度に飛び上がって喜んでます！雨蛙の描く悪夢みたいな世界を楽しんでいただけたら、雨蛙はこれ以上ないほど幸せです！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年2月7日 17時
