鯨骨生物群集：22 ページ24
コネシマが右手を軽く上げる。そして手のひらで空気をを少しずつ握るようにして締めていくと、離れた所にいたチーノの気道も一緒に締まって行った。呼吸ができないからか、チーノの顔色がみるみる悪くなる。殺されてしまう、チーノが、Aの大切な弟が、傷つけられている。それがAを酷く怒らせた。
「やめて、コネシマ兄さん。チーノを離して」
そう、いつになくAは真剣は顔でコネシマを睨んだ。コネシマは手が痺れるような感覚に顔を歪めた。自分の意思と関係なく握った手のひらが緩んでいくのが分かる。
A、無意識にその力を使っとるんならお前、えらい化け物やで。
コネシマは恍惚に顔を歪めていた。怒りが、殺意が、驚くほど早くAへの興奮で塗り替えられていくのが分かる。なるほど、Aは脳味噌だから『命令』出来るのか。コネシマは腹から笑った。あの日、Aに酷く依存した日とよく似た笑い声だった。
「っげっほ、ごっほ、ガハッ、けひゅっ、ひゅっ」
「チーノ、大丈夫？のド、痛い？」
「姉さ、俺」
「喋っちゃダメ。安静にしテて」
酸素の供給、血の巡り、全部全部止められてしまったみたいだとチーノは思った。
「コネシマ兄さん、チーノ達を虐めるのなラ、私が兄さんを許しません」
嫉妬、後悔、そうか、そうかもしれない。確かに、感情に流されてAの地雷に軽々しく手を出してしまった。Aを怒らせることなど分かりきっていただろうに。それでもコネシマの顔が歪むのは、呼吸が荒く、熱くなるのは、Aが初めて命令した相手が、地面に蹲って喉を押さえているチーノでもなく、自分に殺気じみた視線を送っているしょっぴでもなく、他の兄弟でもない…紛れもない自分だからなのだろう。その事実だけで、弟の存在がどうでもよくなるほどにコネシマは幸せな気持ちになることが出来た。Aに部屋の外に叩き出された後も、興奮に打ち震えた心臓が落ち着くことはなかった。
「あ"あ、ほんま、かわええ、かわええ俺の妹♡」
姉さん、姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん、俺の、俺達だけの姉さん♡助けてくれた、怒ってくれた、俺のために、俺を守るために！…知っとりますか、あんたのためなら俺たち、死んでまえるんですよ。姉さんを取られるくらいならいっそ、姉さんを殺してしまいたいほどには、姉さんを愛しとるんですよ。だから早く俺たちのこと、殺してしまってくださいね。姉さん。A姉さん。
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雨蛙躑躅(プロフ) - コメント返信のやり方を漸く理解いたしました‼︎返信が遅くなってしまい誠に申し訳ございません🙇♀️コメントをくれた皆様、大好きですぞ〜！！ (4月14日 12時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - 惨事さん» コメントありがとうございます！だんだん全てが覆って、次第に壊れて何もかもが無くなる、かもしれないですね！汚く醜い生態系に存在価値があるのかどうか、雁字搦めになりながら沢山想像して欲しいです！これからも完結目指して頑張ります！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - かぼちゃピースさん» コメントありがとうございます！この深海で紡がれる不安定な生態系にアナタが雁字搦めにされていたら、作者はとても嬉しいです！これからも頑張ります！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - まるちゃん生麺さん» コメントありがとうございます！ちゃんと貴方のしきゅ…お腹から生まれている唯一の、おっと。ここまでにしておきましょう！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - リトマス試験紙さん» ありがとうございます！沢山の方々にお気に入り登録や評価、コメントをもらえて雨蛙は本当に幸せです‼︎コメントが届く度に飛び上がって喜んでます！雨蛙の描く悪夢みたいな世界を楽しんでいただけたら、雨蛙はこれ以上ないほど幸せです！ (4月14日 12時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年2月7日 17時
