まるごと好きです (ページ10)

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実質噓告なので　　in sha ページ10

「っ、なんで⁉︎なんで、なんで‼︎好きって言ったやん、ずっとファンやったって‼︎俺のこと、シャオロンさんのこと好きやって言ったやん‼︎」

「っ、それは。お前が勘違いしてたから、傷付かないようについた嘘だって、僕、女装してただろ‼︎」

「ちゃう、ちゃうちゃう、ちゃうねん…。Aさんはこんなこと言わへん‼︎はやく、はやくはやくはやくはやく‼︎Aさんを返せ‼︎A、さん、AさんAさん‼︎」

「あ"、ぐ、じゃおろ、や"め、っ」

首がギリギリと締まっていく。酸素の欠乏した体はシャオロンに抵抗する力すらも失っていく様だった。

シャオロンのためだった。

ちょっとの悪戯心とシャオロンのため。告白と勘違いしていたシャオロンが傷つかないようにみんなで女装して、その中で一番マシだったのが僕だったから僕がシャオロンに告白した。それだけのことのはずだったのに。

目の前で狂った様にAへの愛をぶち撒けるシャオロンが、怖くて仕方がない。

酸欠からか視界が白く霞んできた。

生命的な危機感から家系能力が勝手に発動して、僕の体が女になる。僕が、Aになる。

「っあ、♡Aさ、Aさんやぁ。会いたかってん、俺、ずっと会いたかった」

「あ"、は。じゃ、ジャオロ、く。っげほ、く、っかは、ひ、久しぶり、ですね。」

ドロドロに惚けた顔で笑うシャオロンが気持ち悪くて、生きるために、死なないために、僕は咄嗟にAの皮を被った。そんなAの言葉一つに、恋する様に顔を緩めるシャオロンが嫌いで、気持ちが悪くて仕方がなかった。

「俺、俺ずっと。あの告白の返事がしたくて‼︎」

嫌な予感がした。箱を開ける前に中身を悟ってしまった時の様な、不快感。

「俺も、すきやで」

それは、僕には絶対に言わないであろう言葉で。それが辛くて、許せなくて。

良かったな、A。僕の恋は死んだけど、お前の恋は実ったじゃないか。

狂ってしまったシャオロンの頬をAの手で包んで、言った。

「嬉しいです。大好きですよ」

ああ、くそ。

死んでしまえたら良かった。

・貴方

シャオロンのことが好きだった。Aとして噓告して、それが実ってしまった。複雑。

・シャオロン

めちゃくちゃ好みの子に告白された。貴方のこととか眼中にあるわけない。だって男じゃん。Aさんになかなか会えないうちに恋心が捻れてしまった。それだけ。