まるごと好きです (ページ9)

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舌足らずに名前を呼び続けるAの頭を撫でてやりながら「どないした？」と聞けば必死に答えようとする姿が可愛らしい。だが完全に理性が飛んでいるようで言葉は出てこないようだった。

Aを壊してしまいたいと思った。
「あぁ、かわいそ」口先だけで言いながらもシャオロンは笑顔を浮かべた。無様にもベットの上でもがきシャオロンから必死に逃れようとするAがこんなにも愛しい。愛らしい！

Aの小さな体を抱きしめてそして優しく背中を撫でてやったあと額にキスを落としてやった。逃すはずもない。他でもない自分の手で、Aを壊したいと思った。

ぐちゃぐちゃになりながら必死に息をするAは、たかが行為一つでも死んでしまいそうなか弱い存在だった。それが、自分に縋り付く快感をシャオロンは知ってしまった。自分がいなきゃ息すら出来ない生き物を愛でる楽しさを、シャオロンは知ってしまったのだ！

これじゃまるでシャオロンがインキュバスみたいだ。なんて。
気絶した様に眠ってしまったAを優しく抱きしめた。穏やかな寝顔。その寝顔を見ながらシャオロンはいつだって死にたくなるほど不安な気持ちを覚えるのだ。

死んでしまっていたらどうしよう！

壊してしまった！殺してしまったかもしれない！

キスをしたって、酸欠で死にそうだった。自分と比べれば圧倒的に体力のないAは、あんな行為でも死んでしまうかもしれない！明日の朝いつもと同じ様に目を覚ますか弱い使い魔は、主人のこんな醜い感情、知るわけもない！好きなのだ。離れてほしくない。いつか、いつか、自分よりずっとずっとか弱いAが死んでしまうのなら、自分もいっしょに死にたい。離れたくない。

ぐちゃぐちゃになって、眠ってしまったAを抱き締めるシャオロンだって、醜い感情にぐちゃぐちゃになっている。

悪魔が人間に恋だなんて、奴らは笑って馬鹿にするのだろうか。