まるごと好きです (ページ8)

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肩で息をする使い魔に、シャオロンは体の芯が震えるような興奮を覚えた。

「可愛ええなぁ」と小さく呟き、再び唇を重ね合わせると今度は舌を絡ませる。
必死に息をするAは、さながら生きながら食べられる獲物のように無様だった。
その様子が愛らしく思えた。何よりも愛しかった。

Aは諦めた様子でぼうっとしている。口の端からは唾液が流れ出ており、シャオロンはそれを舐めとったあと再びAの体に手を這わせた。声をあげて震える体に優しく触れつつ、「A」名前を呼ぶ。
小さく震える声で名前を呼び返すAにシャオロンは薄く笑みを浮かべながら、小さな体を抱きしめた。そして、そのままベッドの上へ押し倒した。
これから行われる行為を悟り、死んだ魚の様な目でシャオロンを見上げた。シャオロンはAの頭を撫でながら「大丈夫やで」と優しい声色で笑う。そしてAの小さな首筋に顔を埋めると舌先を這わた。愛しいAの味に、頭がクラクラした。

泣きながら拒絶するAをシャオロンは優しく抱きしめる。そしてそのまま耳元で囁くように笑った。

「かわいそ、逃げられへんなぁ」

頭を撫でながら言うとAは絶望に顔を染めた。まるでおもちゃで遊ぶ子供のように無邪気でありながら残忍な行為。やめる気などさらさらないシャオロンは抵抗も虚しいAを嘲笑うかの様にキスをした。
必死に抵抗するAに興奮を煽られながらシャオロンは覆いかぶさった。ベッドの上で悶えるAを見下ろすシャオロンはとても満足そうな表情をしている。甘く、甘すぎて吐き気すらも覚える、砂糖を入れすぎて腐ってしまった瞳は濁っていた。

「可愛ええなぁ」

この人間は自分だけのものなんだと独占欲が剝き出しになっていくと同時に、Aをずっと守ってやらなければならないという庇護欲が湧き上がってくる。

こんな可愛い存在を他の奴らになんてやるはずがない。
　
「A、お前は俺のもんだよな。だって、使い魔やろ。俺が呼んだから、来てくれたんやろ。人間だとか、そんなの関係ない。そうだろ、そうでなきゃ、」

怯えた様に小さく震えるAに、シャオロンは泣きたくなった。

悪魔と人間。不安定すぎる愛情。しかしそれでも、シャオロンはAを愛していた。