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吸血鬼は恋ができない　in shp ページ2

吸血鬼の恋、と聞いて貴方は何を思うだろう。キラキラとした、童話のワンシーンのようなものを想像するだろうか。惨たらしく残酷なものを想像するだろうか。
「Aさん」
そう柔らかな微笑みを浮かべる。俺自身人間に恋をした哀れな吸血鬼であった。
吸血鬼の恋にハッピーエンドは存在しない。
吸血鬼は恋をするとその相手の血しか飲めなくなる。吸血衝動は日に日に強まり、終いには血を吸い付くし殺してしまうのだ。
相手を生かしたいのなら餓死するしかない。
だから、吸血鬼は恋が出来無いのだ。
「ッあ、れ？Aさん…？」
気が付いたら辺りは血溜まりと化していた。
腕の中で眠る愛しい人は、悲しいほどに冷たい。動かない。
「嘘、やろ。ッ俺、俺はっ⁉︎」
受け入れ難くて、涙が溢れた。
それでも腹は空くから、愛しい人の血を啜った。泣いて、泣いて苦しくて。それでもどうしようも無く腹が空いて、また血を啜った。
「美味しい」
あの人の血は、今まで飲んできたそのどれよりも甘く、濃厚で美味しかった。

・ショッピ
人間に恋した愚かな吸血鬼。
貴方の血以外はもう飲めないのでどの道餓死する。